
8月8日頃は、二十四節気の「立秋(りっしゅう)」です。
暦の上では秋の始まりですが、実際には一年で最も気温が高くなる時期でもあり、厳しい「残暑」が続きます。
この時期になると、「なんとなく体が重い」「食欲が戻らない」といった、長引く暑さによる「残暑疲れ」を感じる方が増えてきます。今回は、東洋と西洋の視点から、残暑疲れを癒やし、スムーズに秋を迎えるための体質づくりについて解説します。
【この記事のまとめ:立秋の不調対策と養生】
- 不調の原因: 長引く暑さによる自律神経の疲労と、大量の汗で体の潤い(水分)とエネルギーが奪われた状態。
- 今日からできる対策: 失われた潤いを逃さず、エネルギー代謝をサポートする「酸味」を毎日の食事に取り入れる。
- おすすめの食養生: お酢、梅干し、レモンなどの柑橘類。冷やしすぎず、常温や温かい料理にプラスするのがポイント。
- お薬・漢方の活用: 栄養ドリンクやビタミン剤(西洋薬)で一時的にエネルギーを補いつつ、長引くだるさには漢方で「潤いを蓄え、秋の乾燥に備える体質づくり」を目指す。
1. なぜ残暑に「酸味」?西洋と漢方、2つの視点から
立秋の時期に積極的に取り入れたいのが、お酢や梅干しなどの「酸味」です。この理由について、西洋医学の栄養学的な知識と漢方の視点の両方から、薬剤師・前原が解説します。
薬剤師:前原 信太郎
「暑い時期にお酢や梅干しを食べたくなるのには、しっかりとした理由があります。
まず、西洋の栄養学的な視点で見ると、お酢や梅干しに含まれる『クエン酸』が非常に重要な働きをします。クエン酸は、食べたものをエネルギーに変換する体内サイクル(TCA回路)をスムーズに回すサポートをしてくれます。だるさを感じる時に、ドラッグストアでクエン酸配合のビタミン剤などを活用するのも、このエネルギー代謝を助けるためです。
一方、漢方の視点では、酸味には『収斂(しゅうれん)作用』があると考えます。これは『引き締めて、漏れを防ぐ』働きのことです。長引く暑さでダラダラと汗をかき続けると、体の潤い(津液)や気(エネルギー)まで外に漏れ出てしまいます。酸味を取り入れることで、毛穴を適度に引き締め、体内の潤いをキープする土台づくりに役立つのです。」
2. あなたの「残暑疲れ」チェックリスト
今のあなたの体がどのような状態にあるか、以下の表でチェックしてみましょう。当てはまるものが多いほど、秋に向けて体の潤いやエネルギーが不足しているサインです。
| チェック | 症状(自覚サイン) | 漢方的な体の状態 |
| □ | いくら寝ても疲れが取れず、朝から体が重い | 「気(エネルギー)」が不足し、体を動かす原動力が低下している。 |
| □ | 口やのどの渇きが強く、肌の乾燥も気になり始めた | 汗をかきすぎて「津液(体の潤い)」が枯渇しているサイン。 |
| □ | 冷たいものの食べ過ぎで、食欲がなく胃がもたれる | 胃腸(脾)が冷えて働きが落ち、栄養を吸収しづらくなっている。 |
| □ | 夕方になると微熱っぽく感じたり、寝汗をかく | 潤い不足により、体内の余分な熱を冷ませていない状態。 |
3. 胃腸をいたわる「酸味」の食養生テクニック
酸味が体に良いとはいえ、摂り方には少し注意が必要です。日々の食事に取り入れやすい工夫について、薬剤師・林が解説します。
薬剤師:林
「酸味を取り入れる際、特に注意していただきたいのは『胃腸への負担』です。夏バテで胃腸が弱っている時に、お酢の原液や強い酸味を空腹時に摂ると、胃を刺激しすぎてしまいます。
おすすめは、食事に優しく取り入れること。例えば、温かいご飯に梅干しを添える、炒め物やスープの仕上げに黒酢を少し垂らすといった工夫です。加熱することでお酢のツンとした酸味が飛び、まろやかになります。
また、トマトやブドウ、レモンなどの自然な酸味と甘みを持つ食材も、体の潤いを補ってくれる優れた食養生アイテムですよ。」
4. 立秋の養生・よくある質問(FAQ)
お酢のドリンクを毎日飲んでいますが、冷たくして飲んでも良いですか?
お酢の成分自体は素晴らしいですが、氷を入れたり冷蔵庫でキンキンに冷やした状態で飲み続けると、胃腸を冷やして消化機能を落とす原因になります。なるべく常温のお水やお湯で割って、食事と一緒に少しずつ飲むことをおすすめします。
市販のビタミン剤(ビタミンCやB群)と、体質改善の漢方は一緒に飲めますか?
基本的には併用可能です。ビタミン剤などの西洋のアプローチで不足しがちな栄養素をダイレクトに補給しつつ、漢方で「栄養をしっかり吸収して巡らせる体の土台」を整えていくのは、とてもバランスの良い方法です。具体的な飲み合わせについては、いつでも私たち薬剤師にご相談ください。
まとめ:残暑を乗り切り、実りの秋を迎える準備を
立秋は、厳しい暑さに耐えてきた体を癒やし、これからやってくる「乾燥の秋」に向けて潤いを蓄え始める大切な時期です。
だるさや食欲不振をそのまま放置してしまうと、秋から冬にかけての不調(咳や肌荒れ、気分の落ち込みなど)に繋がりやすくなります。「酸味」の力を上手に借りながら、まずは胃腸を休ませてあげましょう。
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記事作成者 薬剤師 前原 信太郎


実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
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調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎


実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。















