
「夏になってから、生理周期がズレやすくなった…」
「暑い時期に限って、生理前のイライラや腹痛がいつもより激しい気がする…」
「寝苦しい夜が続いて睡眠不足になると、生理の不調も重くなってしまう…」
夏は、心身ともにエネルギーを消耗しやすい季節です。暑さ対策に追われる毎日の中で、女性の体はホルモンバランスの変化にも影響を受けやすく、夏の終わりから秋にかけて「生理不順」や「PMS(月経前症候群)の悪化」を訴える方が少なくありません。
「夏の暑さのせいだから、秋になれば自然に落ち着くだろう」とやり過ごしていると、自律神経の乱れが積み重なり、秋以降の本格的な冷えや不調へと繋がってしまうことがあります。
今回は、夏特有の気候がホルモンバランスや体のリズムに与える影響、そして漢方における「肝(かん)」と「血(けつ)」の関係、体の内側から健やかなリズムを取り戻すための養生法を、太陽堂の薬剤師が詳しく解説いたします。
【太陽堂が教える、夏の生理不順・PMS対策の養生まとめ】
まずは、当薬局が考える夏のホルモンバランスのゆらぎへのアプローチを簡潔にまとめました。
- 漢方の見立て(原因):西洋医学では「猛暑によるストレスや脱水、自律神経の乱れ」とされる夏の生理不調ですが、漢方では、夏の厳しい暑さと冷房による冷えの寒暖差が、感情や気血の巡りを司る「肝(かん)」の働きを失調させ、本来スムーズであるべき巡りが滞り、ホルモンバランスのアンバランスを引き起こしている状態に注目して原因を探ります。
- アプローチ(対策):トマトやシソなど「巡りを整え、こもった熱を和らげる食材」を取り入れた日常の食事ケア(養生)と、お客様の体質に合わせたオーダーメイドの煎じ薬を通じて、夏の気候変化にも負けない「健やかなリズムを育む体の土台づくり」をサポートします。体が本来持つバランスを整える力を内側から引き出します。
- 今後のステップ(根本ケア):一時的な痛み止めやピルで症状を抑えるだけでなく、根本的な原因(胃腸の弱りによるエネルギー不足や、冷えによる血行不良など)を見極めるため、まずはじっくりとご相談を重ね、季節の変わり目にも揺らぎにくい長期的な体質改善と向き合っていきます。
【薬剤師 林の視点】夏の生理トラブルのメカニズムと、西洋医学・漢方のアプローチ
こんにちは、薬剤師の林です。
夏は、私たちが思っている以上に体への負荷がかかる季節です。猛暑、冷房、そして睡眠不足…これらが重なり合うことで、女性特有のリズムを調整している自律神経が悲鳴を上げているのかもしれません。
西洋医学の視点:自律神経の乱れと血流の変化
生理周期は、脳(視床下部・下垂体)と卵巣の繊細な連携によってコントロールされています。しかし、暑い屋外と冷房の効いた室内を何度も行き来する激しい寒暖差は、自律神経に大きなストレスを与えます。自律神経が乱れると、脳からのホルモン分泌の指令がスムーズに伝わらず、生理周期が遅れたり、早まったりといった不順が起こりやすくなります。
また、冷房による冷えは血管を収縮させ、子宮周りの血流を低下させます。これがPMS時の腹痛や腰痛を強める原因となります。
西洋医学的な視点では、規則正しい生活リズムの維持を基本とし、症状に応じてホルモン剤や鎮痛剤、自律神経を調整するお薬を用いて、辛い症状を和らげ、体が自然なリズムを取り戻すのをサポートすることが推奨されます。
漢方の視点:感情と巡りを司る「肝(かん)」のオーバーヒート
一方、漢方の視点では、生理トラブルを「肝(かん)」の機能失調として捉えます。
「肝」は、感情を安定させ、気や血を全身に巡らせる司令塔です。しかし、肝は非常に「熱」に弱く、ストレスや暑さ(熱邪:ねつじゃ)を受けると、すぐにオーバーヒートしてしまいます。
夏場は外の暑さとイライラ(情志の乱れ)が重なり、肝の機能が異常に高まると、気血の巡りが滞り、生理前になると胸が張る、ひどいイライラ、頭痛、生理痛といったPMSのサインが現れます。逆に、夏の疲労でエネルギーが枯渇してくると、生理を維持する力そのものが弱まり、生理が来ない・量が減るといった不順を招きます。
漢方では、このような状態に対し、高ぶった肝の熱を優しく冷まし、滞った気血をスムーズに流すアプローチ(疏肝理気:そかんりき、養血調経:ようけつちょうけいなどの考え方)を用いて、季節の厳しさに左右されない健やかな体の土台づくりをサポートしていきます。
【薬剤師 椙田の視点】リズムを整え、穏やかさを取り戻す夏の食事養生
薬剤師の椙田です。
生理前や生理中の不調を感じるときは、体が「休息と栄養」を求めています。旬の食材を味方につけ、内側から穏やかなバランスを目指しましょう。
「酸味」と「彩り」の食材で、肝を助ける
漢方では、肝の働きを助けるために「酸味」のある食材が有効と考えます。また、気の巡りを良くする「香りの良い食材」も非常に効果的です。
- おすすめの食材: トマト、シソ、ミョウガ、お酢、レモン、プルーン など。トマトやシソ、ミョウガなどは、夏場にこもった熱を冷まし、イライラした気分を落ち着かせるサポートをしてくれます。また、生理前で血が不足しがちな時期には、プルーンや赤身の魚など、血の材料となる食材を意識して取り入れるのがおすすめです。
飲み物は「温度」を意識する
夏の冷たい飲み物は、ダイレクトに胃腸を冷やします。胃腸が冷えると、血を作り出す力が低下し、結果として生理を整えるための栄養が不足してしまいます。
暑い日でも、できるだけ氷入りの飲み物は避け、常温の水や温かい麦茶などを選ぶようにしましょう。もし冷たいものを飲んだときは、その後にお腹を温めるお茶を飲むなどして、体を冷やしすぎない工夫が大切です。
「香りの力」で心身の緊張を解く
生理前のイライラには、香りの力も活用しましょう。シソやミョウガ、セロリなど、独特の香りを持つ食材には、滞った気を巡らせて、心身の緊張を解きほぐす働きがあります。食事の準備をする際、これらの香りを意識的に嗅ぐだけでも、副交感神経を優位にするサポートになります。
【比較表】夏の生理トラブルを防ぐ!OK・NG行動リスト
| カテゴリ | 〇 おすすめ(巡りを整え、肝を癒やす) | × 要注意(巡りを滞らせ、肝に負担をかける) |
| 食事 | トマト、シソ、プルーン、お酢を適量摂る (滞った巡りを整え、血を補って心身のバランスを助ける) | 激辛料理や、脂っこいジャンクフード (体内に熱を生み出し、イライラや生理痛を強める) |
| 飲み物 | 常温のお茶や、温かいハーブティー (内臓を冷やさず、血行を保って子宮周りのめぐりを良くする) | 氷入りの冷たいジュース、カフェインの過剰摂取 (胃腸を冷やし、血管を収縮させて生理痛を悪化させる) |
| 生活習慣 | 湯船に浸かり、首から腰までしっかり温める (血行を促し、溜まったストレスをリセットして巡りを良くする) | シャワーだけで済ませ、冷房の効いた部屋で薄着で寝る (下半身の冷えが蓄積し、生理のトラブルを引き起こす) |
夏の生理不順・PMSに関するよくある質問(FAQ)
生理前になると、決まって食欲が止まらなくなります。
肝の乱れとホルモンの影響で、体がエネルギーを求めています。
生理前はホルモンの影響で血糖値が安定しにくく、特に甘いものやジャンクフードを欲しくなることがあります。これは漢方では「肝」のバランスが崩れ、気が高ぶっているサインでもあります。無理に我慢してストレスを溜めるのではなく、おやつをナッツやドライフルーツに変えるなど、体に優しい「栄養補給」を意識してみましょう。
生理痛がひどい時は、運動で血行を良くした方が良いですか?
激しい運動は避け、ストレッチ程度が適しています。
生理痛がひどい時は、体が休息を求めています。激しい運動は、体力を消耗して血を減らしてしまうため、逆効果になることがあります。痛みが強い時は無理をせず、ゆっくりとした深呼吸や、お腹を温めるストレッチで血行を促進させるのが理想的です。
漢方を飲み始めれば、すぐに生理周期は整いますか?
漢方は「体質改善のサポート」であり、じっくりとバランスを整えるものです。
漢方は、あなたの体の土台を整えることで、生理のサイクルが自然なリズムに戻るよう働きかけます。すぐに変化を感じる方もいれば、3ヶ月、半年と続けていく中で「気づけば楽になっていた」と感じる方もいます。焦らず、ご自身の体の変化を観察しながら、長い目で体質と向き合っていきましょう。
まとめ:巡りを整え、季節に左右されない自分らしいリズムへ
「夏になると、決まって生理が重くて辛い…」
その不調は、夏の暑さと冷房による冷え、そして日々のストレスが重なり、あなたの体内の「気血の巡り」が渋滞を起こしているサインです。
まずは食事や入浴習慣を整え、漢方の視点を取り入れて内側から「肝」の働きをサポートすることで、天候や季節の変化に左右されない、健やかなリズムの土台を作ることができます。
「PMSのイライラや生理痛がひどく、日常生活が辛い」「自分に合った体質改善のサポートが知りたい」という方は、ぜひ太陽堂までお気軽にご相談ください。お一人おひとりの体質に合わせた、無理のない養生法をご提案いたします。
関連ページ
太陽堂では、生理のお悩みだけでなく、心と体の様々なお悩みに対する漢方サポートを行っております。気になる症状がございましたら、以下のページもぜひご覧ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。














