
「暑さで食欲がないのに、口内炎が痛くてさらにご飯が食べられない…」
「夏になると、治ったと思ってもまたすぐに新しい口内炎ができてしまう…」
「冷たいものを飲みすぎているせいか、口の中が荒れてスッキリしない…」
夏の疲れが溜まってくる時期、口の中にできる痛い「口内炎」に悩まされる方は非常に多いものです。たかが小さな炎症と侮ってはいけません。食事のたびにしみる痛みは、日常生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます。
「ビタミン不足かな?」「疲れているから仕方ない」とサプリメントや塗り薬でその場をしのいでいても、何度も繰り返す場合は、体の中に「過剰な熱」がこもり、胃腸の働きが悲鳴を上げているサインかもしれません。
今回は、夏に口内炎ができやすくなるメカニズムや、漢方における「胃熱(いねつ)」と「潤い不足」の関係、そして食事や生活習慣で体の内側から粘膜を整える養生法を、太陽堂の薬剤師が詳しく解説いたします。
【太陽堂が教える、夏の口内炎の養生まとめ】
まずは、当薬局が考える、夏の口のトラブルへのアプローチを簡潔にまとめました。
- 漢方の見立て(原因):西洋医学では「疲労や免疫力の低下による口腔粘膜の炎症、ビタミン不足」とされる夏の口内炎ですが、漢方では、真夏の厳しい暑さ(熱邪)と冷たいものの摂りすぎによって胃腸(脾胃)の働きが低下し、体内に過剰な「熱」がこもり、粘膜を守る「潤い(陰)」が不足する「胃熱(いねつ)」や「陰虚(いんきょ)」のバランスの崩れに注目して原因を探ります。
- アプローチ(対策):トマトや緑豆など「こもった熱を優しく冷ます食材」を取り入れた日常の食事ケア(養生)と、一人ひとりの体質に合わせたオーダーメイドの煎じ薬を通じて、夏の暑さや胃腸の疲れに負けない「健やかな粘膜の土台づくり」をサポートします。体が本来持つバランスを整える力を内側から引き出します。
- 今後のステップ(根本ケア):一時的なビタミン剤やステロイドの塗り薬で表面の痛みをしのぐだけでなく、根本的な原因(胃腸の弱りによる消化不良や、熱を溜め込みやすい体質など)を見極めるため、まずはじっくりとご相談を重ね、季節の変化にも揺らぎにくい長期的な体質と向き合っていきます。
【薬剤師 林の視点】夏の口内炎のメカニズムと、西洋医学・漢方のアプローチ
こんにちは、薬剤師の林です。
口内炎は、体が「これ以上、無理をしないで!」とSOSを出している分かりやすいサインの一つです。特に夏は、口内炎を引き起こす要因が日常に溢れています。
西洋医学の視点:免疫力の低下と粘膜のバリア機能の乱れ
口の中の粘膜は、常に食事や細菌などの刺激にさらされていますが、健康な状態であれば免疫力が働き、バリア機能によって守られています。
しかし、夏の猛暑による肉体的な疲労や、寝苦しさからくる睡眠不足が続くと、体の免疫力がガクッと低下します。さらに、素麺など偏った食事になりがちな夏は、粘膜の健康を保つために必要なビタミンB群などが不足しがちです。その結果、ちょっとした刺激(口の中を噛んでしまう、硬いものを食べるなど)で粘膜が傷つき、そこで細菌が増殖して「アフタ性口内炎」と呼ばれる白くて痛い潰瘍ができてしまいます。
西洋医学的な視点では、口の中を清潔に保つことやビタミンの補給を基本とし、症状に応じてステロイド外用薬(塗り薬やパッチ)や殺菌作用のあるうがい薬などを用いて、痛みを和らげ、粘膜が自然な状態に整うのをサポートすることが推奨されます。
漢方の視点:燃え上がる「胃熱(いねつ)」と潤いが枯渇した「陰虚(いんきょ)」
一方、漢方の視点では、口内炎を「熱」のトラブルとして捉えます。口は消化器官の入り口であり、胃腸(脾胃)の状態がダイレクトに現れる場所です。
夏場に、冷たいジュースやビール、アイスなどを大量に摂ると、胃腸の働きが低下して食べ物をうまく消化できなくなります。消化不良を起こした食べ物は胃の中で滞り、ドロドロとした過剰な熱(湿熱・胃熱)を生み出します。熱は「上へ昇る」性質があるため、胃にこもった熱が口の中へ駆け上がり、粘膜を焦がして口内炎を引き起こすのです。
また、大量の汗をかいて体内の「潤い(陰)」が不足すると、体の中の冷却水が足りなくなり、相対的に熱が燃え上がりやすくなります(陰虚火旺:いんきょかおう)。この状態になると、口が渇きやすくなり、何度も同じ場所に口内炎を繰り返すようになります。
漢方では、このような状態に対し、胃にこもった余分な熱を優しく冷まし、不足した潤いを補って粘膜を保護するアプローチ(清熱瀉火:せいねつしゃか、滋陰降火:じいんこうかなどの考え方)を用いて、トラブルを繰り返さない健やかな体の土台づくりを内側からサポートしていきます。
【薬剤師 椙田の視点】「熱」を冷まし、胃腸を労わる夏の食事と生活養生
薬剤師の椙田です。
口の中に痛みがある時は、食事が億劫になりますが、偏った食事は回復を遅らせてしまいます。体にこもった熱を冷まし、刺激の少ない優しい食材で胃腸の働きをサポートすることが大切です。
「清熱(せいねつ)」と「潤い」の食材で内側から火消しを
漢方において、体内にこもった過剰な熱を冷まし、炎症を和らげる働きを持つ食材を積極的に取り入れましょう。
- おすすめの食材: トマト、緑豆(もやしや春雨)、大根、きゅうり、豆腐、白菜、はちみつ など。トマトやきゅうりなどの夏野菜は、熱を冷ましながら失われた潤いを補ってくれます。大根は消化を助け、胃にこもった熱を取る働きがあります。口内炎が痛む時は、大根おろしを添えたみぞれスープや、豆腐とトマトの柔らかい卵とじなど、あまり噛まずに飲み込めて胃に優しいメニューが理想的です。
絶対に避けるべき「胃に熱をこもらせるNG食材」
いま痛みがある時や、繰り返しできやすい方は、胃に熱を生み出す食材を避けることが必須です。
- NG食材: 激辛料理(唐辛子・カレー)、脂っこい揚げ物、スナック菓子、過度なアルコール。これらは体の中で「火に油を注ぐ」ように熱を燃え上がらせ、粘膜の炎症をさらに悪化させます。治りかけていた口内炎が再び痛む原因にもなるため、コンディションが整うまではマイルドな味付けを心がけてください。
睡眠不足は「潤い」の最大の敵
漢方では、「体を潤す水(陰)は、夜眠っている間に作られる」と考えます。
夏の暑さで夜更かしが続くと、冷却水である潤いが作られず、体内の熱が暴走してしまいます。口内炎ができた日は、「今日はしっかり寝なさい」という体からのメッセージと受け取り、いつもより30分でも早くベッドに入って休息を優先してください。
【比較表】夏の口内炎を防ぐ!OK・NG行動リスト
| カテゴリ | 〇 おすすめ(熱を冷まし、粘膜を守る) | × 要注意(熱をこもらせ、粘膜を刺激する) |
| 食事 | トマト、大根、豆腐などの消化に良い食材 (こもった胃熱を優しく冷まし、不足した潤いを補う) | 激辛料理、スナック菓子、脂っこい揚げ物 (胃に過剰な熱を生み出し、炎症をさらに悪化させる) |
| 飲み物 | 常温の麦茶や、はちみつを溶かしたぬるま湯 (胃腸に負担をかけず、口の中の粘膜を優しく保護する) | 氷入りの冷たいジュースや、大量のアルコール (胃腸の働きを低下させて消化不良を招き、胃熱を作る) |
| 習慣 | 食後は優しくうがい・歯磨きをし、早く寝る (口内を清潔に保ち、睡眠によって体の潤いを蓄える) | 夜更かしをして、寝る前にスマホを見続ける (体を休める時間が奪われ、免疫力が低下して回復が遅れる) |
夏の口内炎に関するよくある質問(FAQ)
口内炎にはビタミン剤を飲めばすぐ良くなりますか?
ビタミン補給は有効ですが、胃腸が弱っていると吸収されません。
ビタミンB群は粘膜の健康に不可欠ですが、いくらサプリメントを飲んでも、受け入れる側の胃腸(脾)が冷えや疲労で弱っていては、うまく吸収されずに尿として流れてしまいます。漢方の視点では、まずは胃腸の働きを立て直し、栄養を吸収できる「土台」を作ることが先決と考えます。
痛くて歯磨きが辛いのですが、どうすれば良いですか?
刺激の少ない方法で、口の中を清潔に保ちましょう。
口の中の細菌が増えると炎症は悪化しやすくなります。痛みが強い場合は、歯磨き粉を使わずに柔らかい歯ブラシで優しく磨くか、食後に水や刺激の少ないうがい薬でこまめにうがいをするだけでも違います。
何度も同じ場所に口内炎ができます。漢方でサポートできますか?
はい、熱がこもりやすい「体質」からのアプローチが可能です。
塗り薬は「今できている口内炎」をカバーするものですが、何度も繰り返すのは体の中に「熱を生み出しやすい、または潤いが足りない」という根本的なアンバランスがあるためです。漢方はその体質を見極め、全体のバランスを整えることで、口内炎ができにくい健やかな体の土台づくりを長期的な視点でサポートします。
まとめ:こもった熱を優しく冷まし、おいしく食べられる夏へ
「また口内炎ができて、食事の時間が苦痛…」
その繰り返す口内炎は、単なるビタミン不足だけではなく、冷たいものの摂りすぎや夏の疲労によって、胃腸が悲鳴を上げ、体に過剰な「熱」がこもっているサインです。
刺激物を控えて消化の良いものを食べるという日々の養生からスタートし、漢方の視点を取り入れて内側から「熱」と「潤い」のバランスを整えることで、トラブルに悩まされない健やかな粘膜の土台を作ることができます。
「塗り薬を手放せない状態から抜け出したい」「夏バテと一緒に繰り返す口内炎をどうにかしたい」という方は、ぜひ太陽堂までお気軽にご相談ください。お一人おひとりの体質に合わせた、無理のない養生法をご提案いたします。
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記事作成者
薬剤師 林 / 薬剤師 椙田
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太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。















