
4月20日頃は、二十四節気の「穀雨(こくう)」です。
春の雨が百穀(たくさんの穀物)を潤し、発芽を促す恵みの季節。農作業の目安として古くから大切にされてきました。
植物にとっては嬉しい雨ですが、私たち人間にとっては「不調」の引き金になることも。
春から初夏に向かって雨の日が増えてくると、こんなお悩みはありませんか?
「雨が降る前日から、頭が締め付けられるように痛い」
「体が鉛のように重く、だるくてやる気が出ない」
「夕方になると足がパンパンにむくむ」
いわゆる「低気圧不調(気象病)」と呼ばれるこれらのサイン。
今回は、西洋医学と漢方の両方の視点を持つ太陽堂の薬剤師2名が、雨の日の不調のメカニズムと、湿気を溜めない「水はけの良い体づくり」について解説します。
なぜ雨の日に「頭痛」や「だるさ」が起きるのか?
雨の日の不調は、決して気のせいではありません。気圧の変化と体内の水分の関係について、調剤薬局での経験から西洋医学の知識も豊富な薬剤師・前原先生が解説します。
薬剤師:前原 信太郎(調剤薬局勤務 6年の経験)
雨が降る前や台風が近づく時、気圧は大きく下がります。
すると、耳の奥にある『内耳(ないじ)』という気圧センサーが過剰に反応し、自律神経のバランスが乱れてしまいます。これにより血管が拡張して神経を圧迫し、ズキズキとした低気圧頭痛が引き起こされます。
こうした急な痛みに対して、ロキソニンなどの鎮痛薬(西洋薬)を服用される方は多いと思います。痛みの信号をすばやくブロックしてくれるため、辛い時の頓服としては非常に有効な選択肢です。
しかし、漢方ではこの不調の根本原因を『水毒(すいどく)』または『湿邪(しつじゃ)』と考えます。体の中に余分な水分が溜まっていると、気圧の変化に体が対応できず、むくみや頭痛、めまいとして現れるのです。
鎮痛剤を手放せないという方は、同時に『体内の水はけを良くする』アプローチを取り入れると、雨の日もぐっと過ごしやすくなりますよ。
あなたの体は「水没」気味?湿気・むくみチェック
体内に余分な水分が溜まっているサインを見逃さないようにしましょう。
以下の表で、ご自身の「水はけ度」をチェックしてみてください。
| チェック | 症状(自覚サイン) | 漢方的な体の状態 |
| □ | 雨の日や低気圧の時に頭痛がする | 気圧の変化で体内の水分が膨張し、神経を圧迫している。 |
| □ | 体が鉛のように重だるい | 湿気(湿邪)が体にまとわりつき、気の巡りを邪魔している。 |
| □ | 舌の縁に波打つような「歯型」がついている | 舌がむくんで膨張し、歯に押し付けられているサイン。 |
| □ | 夕方になると靴がきつくなる(むくみ) | 重力で水分が下に溜まり、うまく排出できていない。 |
| □ | めまいや、耳が詰まったような感じがする | 耳の周りの水分代謝が滞っている(水毒の代表的なサイン)。 |
| □ | 胃のあたりがチャポチャポと鳴る | 胃腸の働きが低下し、水分を処理しきれていない。 |
胃腸の専門家が語る!「除湿」の要は胃腸にあり
チェックリストに「胃のチャポチャポ音」は湿気と胃腸には深い関係があります。自身の胃腸虚弱を改善した経験を持つ薬剤師・石川先生が、食生活のポイントをお伝えします。
薬剤師:石川 満理奈(担当:胃腸・体質改善)
漢方では、『脾(ひ=胃腸)』は乾燥を好み、湿気を嫌う臓器とされています。体の中に湿気が溜まると、お腹の働きが鈍り、さらに水が溜まりやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。
だるさやむくみを感じる時、『健康のために』と冷たいお水を1日2リットル無理に飲んでいませんか? 処理しきれない水分は、体を冷やす原因(水毒)になってしまいます。
この時期は、冷たい飲み物や甘いもの、脂っこい食事を控え、温かいお茶などで優しく水分補給をしてください。胃腸をいたわることが、一番の『除湿』に繋がります。
穀雨の養生:湿気を溜めない3つの「除湿」習慣
お二人のアドバイスをもとに、雨の季節を軽やかに過ごすための養生法をまとめました。
1. 「利水(りすい)」食材で体内の水を出す
尿として余分な水分を排出するのを助ける食材を、毎日の食事に取り入れましょう。
- 豆類(黒豆、小豆): 水はけを良くする代表格。黒豆茶や小豆茶として飲むのも手軽でおすすめです。
- ウリ科の野菜(きゅうり、冬瓜など): 体の熱を冷まし、水分代謝を促します(冷え性の方は温かいスープにして)。
- 海藻類(昆布、わかめ): ミネラルが豊富で、体内の水分バランスを整えます。

2. 「うっすら汗」で毛穴を開く
運動不足で汗をかかないと、水分は体内に溜まる一方です。
激しい運動である必要はありません。ぬるめのお湯での半身浴や、少し早歩きのウォーキングなどで、「うっすらと汗ばむ」習慣をつけましょう。皮膚から湿気を逃がすことができます。
3. 部屋の湿度コントロール
生活環境の湿気(外湿)も、皮膚呼吸を通じて体内に影響を与えます。
雨の日は我慢せずにエアコンの除湿機能を使ったり、換気扇を回したりして、部屋の中をカラッと快適な状態に保ちましょう。
穀雨の養生・よくある質問(FAQ)
頭痛が辛い時、鎮痛剤と漢方薬は一緒に飲んでも良いですか?
基本的には併用可能です。
ロキソニンなどの西洋薬で「今ある急な痛み」を和らげつつ、漢方薬で「水が溜まりやすい体質」を中長期的に整えていくというアプローチは、とても合理的です。(※お薬の飲み合わせについては、必ず事前に薬剤師にご相談ください)
コーヒーや紅茶は水分の排出に良いですか?
カフェインには利尿作用がありますが、同時に体を冷やしたり、交感神経を刺激して自律神経の乱れ(頭痛の引き金)に繋がることがあります。
むくみが気になる時は、ノンカフェインの黒豆茶やハトムギ茶、とうもろこしのひげ茶などが胃腸に優しくおすすめです。
まとめ:自分の「自覚症状」から体質を知ろう
穀雨は、植物がぐんぐん育つパワーに満ちた季節です。
雨の日のお出かけは億劫になりがちですが、体の中の「水はけ」さえ良くしておけば、頭痛やだるさに悩まされることなく、穏やかな気持ちで過ごすことができます。
「雨のたびに薬を飲んでいる」
「むくみがひどくて足がだるい」
そんな不調は、体が発している大切なサインです。
太陽堂では、患者様一人ひとりの「自覚症状」を詳しくお伺いし、西洋と東洋の両面から、あなたに最適な体質改善をサポートいたします。
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ご相談の多い疾患・お問い合わせ
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎


実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈


得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。

















