
「天気予報で台風の発生を知るより早く、頭痛で天気の崩れがわかる…」
「雨が降る前日から、頭が締め付けられるように痛くてズーンと重い…」
「秋の長雨の時期は、めまいや全身のだるさが強くてベッドから起き上がれない…」
秋は台風の接近や秋雨前線で低気圧が居座り、気圧が大きく変動する季節です。この時期になると、天候に合わせて体調を崩す「気象病(天気痛)」にお悩みの方が急増します。
中には、毎日のように鎮痛剤を手放せず、なんとかやり過ごしているという方も多いのではないでしょうか。
「天気のせいだから仕方ない」と諦めてしまいがちですが、同じ低気圧が近づいても、ケロッとしている人と寝込んでしまう人がいるのはなぜでしょうか。それは、体の中の「水はけ(水分代謝)」の力が大きく関係しています。
今回は、秋の台風・低気圧が頭痛を引き起こすメカニズムや、漢方における「水(すい)」の停滞、そして食事や生活習慣で体内の水はけを整える養生法を、太陽堂の薬剤師が詳しく解説いたします。
【太陽堂が教える、秋の台風・低気圧頭痛の養生まとめ】
まずは、当薬局が考える秋の気象病へのアプローチを簡潔にまとめました。
- 漢方の見立て(原因):西洋医学では「気圧の低下による内耳センサーの過敏反応と、自律神経の乱れ」とされる秋の低気圧頭痛ですが、漢方では、秋の台風や長雨(外部要因)が、体内の「水(すい)の巡りのバランス」に影響を与え、余分な水分が頭部に滞る「水滞(すいたい)・水毒(すいどく)」の状態を引き起こしていることに注目して原因を探ります。
- アプローチ(対策):黒豆やハトムギなど「水はけを良くする食材」を取り入れた日常の食事ケア(養生)と、一人ひとりの体質に合わせたオーダーメイドの煎じ薬を通じて、秋特有の天候の変化に負けない「体の土台づくり」をサポートします。体が本来持つ巡る力を引き出し、水分のアンバランスを整えます。
- 今後のステップ(根本ケア):一時的な鎮痛剤で痛みをしのぐだけでなく、根本的な原因(胃腸の弱りによる水分代謝の低下や、慢性的な冷えなど)を見極めるため、まずはじっくりとご相談を重ね、季節や天候の変化にも揺らぎにくい長期的な体質と向き合っていきます。
※ 春先の「春一番」で同じような不調が出る方は、こちらでもお話ししています。
【薬剤師 林の視点】台風・低気圧で頭が痛くなるメカニズムと、西洋医学・漢方のアプローチ
こんにちは、薬剤師の林です。
台風が近づくと頭が痛くなるのは、決して気のせいではありません。気圧という目に見えない波が、私たちの体に物理的な影響を与えているのです。
西洋医学の視点:内耳のセンサーと自律神経の過剰反応
耳の奥にある「内耳(ないじ)」には、気圧の変化を感知するセンサーがあります。台風などで気圧が急激に下がると、このセンサーが脳に「環境が変化したぞ!」と過剰なシグナルを送ります。
すると、体をコントロールしている自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れ、血管が異常に拡張したり収縮したりします。拡張した血管が周囲の神経を圧迫することで、ズキズキとした頭痛が起こります。また、内耳自体がむくむことで、めまいや耳鳴りを引き起こすこともあります。
西洋医学的な視点では、痛みが起きる前に鎮痛剤を服用したり、内耳のむくみを取るための抗めまい薬(酔い止め薬など)を用いたりして、辛い症状をコントロールし、コンディションをサポートすることが一般的です。
漢方の視点:体内の水分が膨張する「水滞(すいたい)」
一方、漢方の視点では、低気圧のときの不調を「水滞(すいたい)」あるいは「水毒(すいどく)」という状態として捉えます。
山の上にポテトチップスの袋を持っていくと、袋がパンパンに膨らむのを見たことがありませんか? 人間の体でも、同じことが起きています。私たちの体の約60%は水分です。気圧が下がると、体内の水分が外に向かって膨張しようとします。
普段から水分代謝が良く「水はけ」が良い人は、膨張しても汗や尿としてスムーズに排出できるため問題ありません。しかし、水はけが悪く体内に「余分な水」が溜まっている人は、膨張した水分が行き場を失い、体の上に昇って頭部で停滞してしまいます。
この頭に溜まった「不要な水」が、頭を重く締め付けるような頭痛や、ぐるぐると回るようなめまい、そして全身の重だるさを引き起こすのです。
漢方では、このような状態に対し、体内に停滞している余分な水をスムーズに排出し、巡りを良くするアプローチ(利水:りすいの考え方)を用いて、天候の変化に左右されない健やかな体の土台づくりを内側からサポートしていきます。
※ 具体的にどのような漢方薬が使われるかは、薬剤師がこちらで解説しています。
【薬剤師 椙田の視点】「水はけ」を良くして体を軽くする食事と生活養生
薬剤師の椙田です。
台風が来る前から「体内の余分な水を溜め込まない」工夫をしておくことが大切です。毎日の食事とちょっとした習慣で、水はけの良い体を目指しましょう。
「利水(りすい)」の食材で、余分な水をスッキリ流す
漢方において、体内の水分代謝をサポートし、不要な水を尿として排出する働き(利水作用)を持つ食材を積極的に取り入れることが、気象病養生の基本です。
- おすすめの水はけ食材: 黒豆、あずき、ハトムギ、とうもろこしのひげ(コーンシルク)、昆布、ワカメ など。秋は温かい黒豆茶やハトムギ茶を日常の飲み物にすると、胃腸を冷やさずに水分代謝をサポートできます。また、あずきを使った温かいスープや、昆布出汁をしっかり効かせたお味噌汁なども、体に溜まった重たい水を流す手助けをしてくれます。
「耳くるくるマッサージ」で内耳の血流を促す
気圧を感じ取るセンサーである「内耳」の血流が滞ると、むくみが生じて頭痛やめまいが悪化します。台風が来そうだな、天気が崩れそうだなと感じたら、事前の「耳マッサージ」がおすすめです。
両耳を軽くつまんで、上、下、横に5秒ずつ引っ張ります。その後、耳を軽く引っ張りながら後ろに向かって5回ゆっくり回し、最後に耳全体を手で包み込んで温めます。これだけで耳の周りの血流が良くなり、自律神経のバランスを整えるサポートになります。
入浴で「じんわり汗をかく」習慣を
水はけの悪い方は、汗をかくのが苦手な傾向があります。シャワーだけで済ませず、ぬるめ(38〜40度)のお湯にゆっくりと浸かり、じんわりと汗をかく習慣をつけましょう。皮膚から余分な水分を蒸発させることで、頭部のむくみや重だるさを和らげることができます。
【比較表】台風・低気圧の頭痛を防ぐ!OK・NG行動リスト
| カテゴリ | 〇 おすすめ(水はけを良くし、巡りを整える) | × 要注意(水を溜め込み、むくみを悪化させる) |
| 食事 | 黒豆茶、ハトムギ、温かいあずきスープ (利水作用で体内の余分な水分を排出し、頭の重さを取る) | 味の濃いもの、塩分の多いスナック菓子 (塩分が体内に水分を強力に抱え込み、むくみと頭痛を加速させる) |
| 習慣 | 天気が崩れる前から「耳マッサージ」を行う (内耳の血流を良くしてむくみを防ぎ、自律神経を整える) | 痛みが出てから、ずっとベッドでスマホを見続ける (目の酷使が頭部の緊張を高め、さらに血流を悪化させる) |
| 入浴 | ぬるめのお湯に浸かり、じんわり汗をかく (毛穴を開いて体表から水分を逃がし、水毒を解消する) | シャワーだけで済ませる、または冷たい飲み物をがぶ飲みする (胃腸が冷えて水分代謝の力が落ち、水が体内に滞り続ける) |
秋の台風・低気圧による頭痛のよくあるご質問(FAQ)
水分を摂りすぎると頭痛が悪化しますか?
「巡らない水」が問題です。冷たいもののガブ飲みは控えましょう。
水分補給自体は必要ですが、胃腸が処理しきれないほどの冷たい水を一気に飲むと、それは「水毒」となって体内に停滞します。喉が渇いた時は、常温か温かいお茶(黒豆茶など)を「こまめに、一口ずつ」飲むようにして、胃腸の負担を減らすことが大切です。
鎮痛剤を飲むタイミングがわかりません。
痛みが本格化する前、早めのタイミングでの服用が推奨されています。(西洋医学的視点)
頭痛がひどくなってからでは、薬が効きにくくなることがあります。「いつも天気が崩れる時に痛くなる」というパターンがある方は、初期の段階で服用することで、辛い状態をコントロールしやすくなります。ただし、常用しすぎると薬物乱用頭痛を引き起こすこともあるため、漢方などで根本的な土台を整えることも並行しておすすめします。
頭が痛い時は、冷やした方が良いですか?温めた方が良いですか?
ズキズキ痛む時は「冷やす」、ジワジワ重い時は「温める」のが基本です。
血管が拡張して脈打つようにズキズキ痛む場合は、こめかみを冷やして血管を収縮させると楽になることが多いです。一方、頭全体が締め付けられるように重だるい緊張型の頭痛の場合は、首や肩を温めて血流を良くすることで和らぐことがあります。ご自身の痛みの種類に合わせて対応してみてください。
まとめ:不要な「水」を流し、天気に左右されない軽やかな毎日へ
「台風が来るたびに、頭が痛くて何も手につかない…」
その気象病は、決してあなたの心が弱いからではありません。気圧の変化によって、体内に停滞していた「余分な水」が悪さをしているサインです。
耳マッサージや入浴といった外側からのケアに加えて、漢方の視点を取り入れて内側から「水はけ(水分代謝)」を整えることで、天候に振り回されない、軽やかで健やかな体の土台を作ることができます。
「鎮痛剤が手放せない状態から抜け出したい」「自分に合った水分代謝の整え方を知りたい」という方は、ぜひ太陽堂までお気軽にご相談ください。お一人おひとりの体質に合わせた、無理のない養生法をご提案いたします。
関連ページ
太陽堂では、気象病や頭痛だけでなく、心と体の様々なお悩みに対する漢方サポートを行っております。気になる症状がございましたら、以下のページもぜひご覧ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。














