
8月23日頃は、二十四節気の「処暑(しょしょ)」です。
「処」という字には「落ち着く・止まる」という意味があり、暦の上では厳しい暑さが和らぎ、朝晩に涼しい風を感じ始める時期とされています。
しかし、日中はまだまだ暑く、朝晩との「寒暖差」が大きくなるのがこの季節の特徴です。少し涼しくなってホッとした途端に、「急に体がだるくなった」「食欲がわかない」といった「秋バテ」のサインを感じていませんか?
【この記事のまとめ:処暑の不調対策と養生】
- 不調の原因: 激しい寒暖差による「自律神経の乱れ」と、夏の間に消耗した「気(エネルギー)」と「潤い」の不足。
- 今日からできる対策: 朝晩の冷えから体を守る羽織り物の活用。冷たい飲食を控え、胃腸を温めて休ませる。
- おすすめの食養生: 梨、ぶどう、はちみつ、白ごまなど。秋に向けて体を守る「白い食材」を取り入れる。
- お薬・漢方の活用: 胃腸の不調には市販の整腸剤(西洋薬)などを活用して負担を和らげつつ、漢方で「消耗したエネルギーを補い、潤いを蓄える体質の土台づくり」をサポートする。
今回は、太陽堂の薬剤師2名が、東洋と西洋の視点から「秋バテ」のメカニズムを紐解き、本格的な秋を健やかに迎えるための体質づくりについて解説します。
1. なぜ今、疲れが出るの?「秋バテ」のメカニズム(西洋と漢方の視点)
夏の終わりから秋口にかけて感じる不調の原因について、調剤薬局での経験から西洋医学の知識も豊富な薬剤師・前原が解説します。
薬剤師:前原 信太郎
「処暑の時期は、日中の暑さと朝晩の涼しさによる『大きな寒暖差』が発生します。西洋医学の視点では、この気温の変化に体を適応させようと、体温調節を担う『自律神経』が過剰に働き、疲弊してしまうことが『秋バテ(全身のだるさ、胃腸の不調、頭痛など)』の大きな原因と考えられています。
胃もたれや食欲不振が辛い場合は、まずは市販の整腸剤や胃腸薬(西洋薬)を適切に活用し、消化吸収の負担を減らしてあげるアプローチが有効です。
一方、漢方の視点では、夏の間にかいた大量の汗によって、体を動かす『気(エネルギー)』と、体を潤す『津液(しんえき=水分)』がすっかり枯渇している状態(気陰両虚)だと捉えます。車で例えるなら、ガソリンも冷却水も空っぽの状態で走り続けているようなものです。まずは胃腸を整えて栄養を吸収できる状態にし、失われた『気』と『潤い』をしっかりチャージする土台づくりが欠かせません。」
2. あなたは大丈夫?「秋バテ&乾燥予備軍」チェック
夏のダメージがどのくらい蓄積しているか、以下の表でチェックしてみましょう。当てはまるものが多いほど、咳や肌荒れなど、秋のトラブルを起こしやすい状態です。
| チェック | 症状(自覚サイン) | 漢方的な体の状態 |
| □ | 涼しくなってきたのに、体が重くてやる気が出ない | 「気(エネルギー)」が不足し、疲労を回復できていない。 |
| □ | 食欲があまりなく、少し食べるとお腹が張る・もたれる | 冷たいものの摂りすぎで胃腸(脾)が冷え、機能が低下している。 |
| □ | 肌のカサつきや、喉のイガイガ・空咳が気になり始めた | 体の「潤い(津液)」が不足し、秋の乾燥ダメージを受け始めている。 |
| □ | 夜中に目が覚めやすくなった。または寝汗をかく | 自律神経が乱れ、体に余分な「熱」がこもってリラックスできていない。 |
3. 体質ケアの専門家が伝授!処暑の「潤いチャージ」食養生
チェックリストで当てはまる項目があった方は、日々の食事で「潤い」を補うことが大切です。体質ケアのアドバイスに定評のある薬剤師・椙田が、処暑の食養生を解説します。
薬剤師:椙田(すぎた)
「処暑を過ぎると、空気は少しずつ乾燥し始めます。東洋医学では、秋は呼吸器系である『肺』が乾燥のダメージを受けやすい季節と考えます。喉のイガイガや肌荒れを防ぐためには、今のうちから体に潤いを蓄えておくことが重要です。
おすすめしたいのは、『白い食材』です。
梨、白ごま、れんこん、豆腐、白きくらげなどは、体に潤いを与え、肺の働きをサポートしてくれる秋の養生の代表格です。また、はちみつやぶどうも手軽にエネルギーと水分を補給できる優秀な食材です。
ただし、秋バテで胃腸が弱っている時は、梨などの果物を冷蔵庫でキンキンに冷やして食べるのは避けましょう。なるべく常温で食べたり、温かいスープやお粥に食材を取り入れたりして、お腹を温めながら潤いを補給してくださいね。」
4. 朝晩の冷えから体を守る、処暑の生活養生
食養生とあわせて、毎日のちょっとした習慣も見直してみましょう。処暑の時期は「日中は夏、朝晩は秋」。この切り替えに体がついていけるよう、生活面からもサポートします。
「一枚羽織る」だけで、自律神経の消耗は大きく減らせる
朝晩の涼しさを「気持ちいい」と感じていても、体の表面は少しずつ冷やされています。夏の間に開いた毛穴はまだ閉じきっておらず、冷気が入り込みやすい状態です。
通勤や就寝前には、薄手のカーディガンやストールを一枚足して、首元とお腹を守りましょう。体温調節の負担が減るぶん、体の消耗を防げます。特にお腹(おへその周り)と足首は冷やさないことが大切です。
シャワーで済ませず、「湯船」で夏の疲れをリセット
夏の間はシャワーだけだった方も、処暑からは湯船に切り替えるのがおすすめです。ぬるめのお湯にゆったり浸かると、日中と朝晩の気温差で緊張した自律神経がゆるみ、眠りの質も上がります。
湯上がりには軽くストレッチをして、汗が引いてから布団に入るのもポイントです。汗をかいたまま寝ると、寝冷えして翌朝のだるさにつながります。
5. 【比較表】処暑のOK・NG行動リスト
| カテゴリ | 〇 おすすめ(消耗を回復し、秋に備える) | × 要注意(回復を遅らせ、不調を長引かせる) |
| 食事 | 温かいお粥やスープで胃腸を休ませる (弱った胃腸の負担を減らし、気と潤いを補いやすくする) | 夏と同じ感覚で冷たい麺類やアイスを続ける (胃腸をさらに冷やし、エネルギーの回復を遅らせる) |
| 服装 | 羽織り物で朝晩の首元・お腹を守る (体温調節の負担を減らし、体を休ませる) | 日中の暑さに合わせた薄着のまま夜まで過ごす (朝晩の冷気で体が冷え、だるさや頭痛を招く) |
| 入浴・睡眠 | 湯船に浸かり、いつもより早めに眠る (一日の冷えと疲れをリセットし、潤いを蓄える) | シャワーだけで済ませて夜更かしをする (疲労が積み重なり、秋の乾燥に備えられない) |
6. 処暑の養生・よくある質問(FAQ)
秋バテで頭痛がします。市販の鎮痛剤(ロキソニンなど)と漢方薬は併用できますか?
基本的には併用可能です。寒暖差などによる辛い頭痛には、西洋薬である鎮痛剤を頓服として使って痛みをコントロールし、同時に漢方薬で「自律神経の乱れにくい、気血の巡りの良い体質づくり」を行うのは非常に理にかなったアプローチです。具体的な飲み合わせについては、私たち薬剤師にご相談ください。
まだまだ日中は暑くて汗をかくのに、肌は乾燥している気がします。
夏の暑さで毛穴が開いたままになり、体内の水分が蒸発しやすくなっている状態です。外側からは化粧水などで保湿しつつ、内側からは「酸味(梅干しやレモンなど)」を取り入れてみてください。酸味には毛穴を引き締め、潤いが外に漏れ出るのを防ぐ働き(収斂作用)があります。
「秋バテ」と「夏バテ」は何が違うのですか?
原因の中心が「真夏の暑さ」か「寒暖差と夏の消耗」かの違いです。
夏バテは、真夏の暑さと冷たい物の摂りすぎで胃腸が弱り、食欲が落ちるのが典型です。一方、涼しくなり始めてから出てくるだるさや胃もたれは、朝晩の気温差に自律神経が振り回されることに加え、夏に消耗した「気(エネルギー)」と「潤い」がまだ回復していないことが原因です。涼しくなったのに不調が続く場合は、体を立て直す時期のサインと考えて、無理せず休息と栄養を優先してください。
まとめ:夏のダメージをリセットし、実りの秋へ
処暑は、夏から秋へと体がゆっくりとシフトしていく「移行期間」です。
「涼しくなったのに調子が出ない」と感じたら、それは体が「夏の疲れを癒やしてほしい」とサインを出している証拠です。
西洋薬の力を借りて今ある辛い症状を和らげながら、漢方の知恵と食養生を取り入れて、ご自身の「回復する力」を優しくサポートしていきましょう。
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私たちは、患者様一人ひとりの「自覚症状」を詳しくお伺いし、あなたに最適な体質サポートをご提案いたします。
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▼ 夏の間に蓄積した疲れや「酸味」を活用した養生については、こちらの記事もご参考になさってください。
▼ 胃腸の冷えや睡眠不足(睡眠負債)が気になる方は、こちらの記事もご覧ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
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特徴その3.
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お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎


実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純


担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。















