
「何か身体がだるくて、ずっと調子が悪い」
「朝起きた瞬間から、もうだるさが残っている」
「やる気が起きず、理由のない不安感がある」
「50歳を過ぎた頃から、体調がおかしくなった」
「急に眠れなくなった」
「病院で検査しても異常なしと言われたけれど、絶対おかしいと思う」
このような、「はっきりした病名はつかないけれど、確実につらい不調」を、医学の言葉で「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼びます。
だるさ、不眠、頭が重い、動悸、めまい、汗、食欲がない——症状が一つではなく、日によってあちこちに動くのも不定愁訴の特徴です。検査で異常が出ないため、周りに理解されにくく、「気のせい」「年のせい」と諦めてしまっている方がとても多いお悩みです。
今回は、西洋医学的な知識(病院での検査やお薬の考え方)も交えながら、検査に表れない不調がなぜ起きるのかと、体全体のバランスから整える漢方のアプローチについて薬剤師が解説いたします。
【太陽堂における不定愁訴(原因不明の不調)の漢方ケアまとめ】
- 原因: 西洋医学では自律神経の乱れやホルモン変動、ストレスとされるが、漢方では「気(エネルギー)の不足や滞り」「血(栄養)の不足」など体全体のバランスの崩れと捉える
- アプローチ: 丁寧な聞き取りから体質に合わせた生薬を用いた煎じ薬や粉薬で、根本的な体質改善を目指す
- 目安期間: 症状によるが、平均して1〜3ヶ月でだるさや眠りに変化が見られ始め、半年〜1年で安定した状態が定着し服用終了となるケースが多い
「検査で異常なし」は、なぜ起きる?西洋医学の視点
病院の検査(血液検査・画像検査・心電図など)は、臓器の形や数値の異常=「器質的な異常」を見つけることにとても優れています。
一方、不定愁訴の多くは、臓器そのものが壊れているのではなく、自律神経やホルモンといった「働き・調節」の乱れ(機能的な不調)から起きています。働きの乱れは数値や画像に表れにくいため、「どこも悪くありませんね」という結果になりやすいのです。
西洋医学では、こうした状態を「自律神経失調症」や「更年期障害」、あるいは「身体表現性障害」などと診断することがあります。
病院を受診した場合、症状に応じて以下のようなアプローチが行われます。
- 対症療法のお薬: 頭痛には鎮痛薬(NSAIDs等)、めまいには抗めまい薬、胃もたれには胃薬と、症状ごとに個別のお薬で和らげる
- 抗不安薬・睡眠導入剤: 不安や不眠が強い場合に、神経の高ぶりを鎮めて休息を助ける
- 抗うつ薬(SSRIなど): 背景にストレスや気分の落ち込み(仮面うつ病など)が疑われる場合に使われる
- 医療用漢方: 病院でも、不定愁訴に対して漢方薬が処方されるケースが増えている
ただ、症状が多岐にわたる不定愁訴では「お薬の数ばかり増えてしまう」「どの科に行けばいいのか分からず、いくつも病院(内科、耳鼻科、心療内科など)を回ってしまう」ということが起こりがちです。症状を一つずつ抑えるのではなく、体全体のバランスを一つの処方で整えていく——これこそ、漢方が最も得意とする分野です。
【比較表】不定愁訴に対する西洋医学と漢方のアプローチの違い
| 項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬・体質ケア |
| 得意なこと | 臓器の異常(器質的な病気)の発見と急な症状の緩和 | 検査に表れない「働きの乱れ」による不調の立て直し |
| 診る対象 | 数値・画像に表れる異常、特定の局所症状 | だるさ・眠り・食欲・冷えなど、体全体のバランス |
| アプローチ | 症状ごとに個別のお薬(鎮痛薬・抗不安薬など)を処方 | 複数の症状の「共通の根っこ」を一つの処方で整える |
| 役割分担 | まず大きな病気が隠れていないかを確認する役割 | 「異常なし」と確認できた後の、体質からの回復役 |
【薬剤師コラム①】太陽堂の聞き取りは「症状・いつから・きっかけ」の3点から
担当薬剤師:林
不定愁訴のご相談で、私たちが最初にうかがうのは次の3つです。
- ① どんな症状か: つらいものから順に、遠慮なく全部お聞かせください
- ② いつから始まったか: 「何年前から」「何歳の頃から」で構いません
- ③ きっかけがあったか: 引っ越し・転職・介護・ご家族の変化など、当時の出来事
ご本人は「特にきっかけはない」と思っていても、お話を深掘りしていくと、不調の始まりと重なる出来事や生活の変化が見つかることがよくあります。この「根っこ」が見つかると、選ぶべき漢方の方向性がはっきりと定まります。
検査の数値には表れなくても、体は必ず理由があって不調のサインを出しています。太陽堂では初回に1時間以上かけて、そのサインを一緒に紐解いていきます。
【前原からの補足】 あわせて、太陽堂で必ず行っていることが2つあります。1つは、血液・アレルギー・レントゲンやCT・MRIなどの検査で異常がなかったかの確認。大きな病気が隠れていないことを確かめるのが出発点だからです。もう1つは、お悩みの症状に、ご自身で優先順位を付けていただくこと。全部を一度に追いかけるのではなく、一番つらいものから順に整えていくためです。
漢方的に見る「不定愁訴」の3つのタイプ
漢方では、検査に表れない不調を「気・血・水」のバランスから読み解きます。不定愁訴のご相談で多いのは、大きく次の3つのタイプです。
① エネルギー切れタイプ(気虚:ききょ)|だるさが抜けない
【出やすいサイン】 何をしても疲れが取れない、朝起きるのがつらい、食後に眠い、やる気が出ない
過労や加齢、胃腸の弱りによって、体を動かすエネルギーである「気」が不足している状態です。ガソリンが減った車のように、どこかが壊れていなくても全体のパワーが落ちてしまいます。胃腸を助けて気を補う漢方薬で、体の土台から立て直します。
② ストレス・環境変化タイプ(気滞:きたい)|症状があちこち動く
【出やすいサイン】 イライラ、ため息が多い、喉や胸のつかえ感、お腹の張り、症状が日によって変わる
引っ越しや転職、ご家族の変化などのストレスで「気」の巡りが滞り、自律神経の切り替えが乱れている状態です。滞った気は行き場を探してあちこちで症状を起こすため、「症状が動く・変わる」のがこのタイプの特徴です。滞った気を発散させ、巡りを取り戻す漢方薬を使います。
③ 栄養不足タイプ(血虚:けっきょ)|眠れない・不安になる
【出やすいサイン】 寝つきが悪い・夜中に目が覚める、不安感、動悸、めまい、肌や髪の乾燥
東洋医学でいう「血(けつ)」は、身体だけでなく精神を安定させる栄養でもあります。血が不足すると心のガソリンも切れてしまい、眠りが浅くなったり、理由のない不安が出やすくなります。質の良い血をたっぷり補う漢方薬で、自然な眠りと落ち着きを取り戻します。
【比較表】不定愁訴の3つの体質タイプ
ご自身の不調に近いサインがないか、目安として参考にしてみてください。
| タイプ | よくあるサイン | 漢方アプローチの方向性 |
| ① エネルギー切れ(気虚) | だるい・朝がつらい・やる気が出ない | 胃腸を助けて「気」を補い、体力を底上げする |
| ② ストレス・環境変化(気滞) | イライラ・つかえ感・症状があちこち動く | 滞った「気」を発散させ、自律神経の巡りを整える |
| ③ 栄養不足(血虚) | 眠れない・不安・動悸・乾燥 | 「血」をたっぷり補い、心と体に栄養を届ける |
【薬剤師コラム②】「気のせい」「年のせい」と諦めてしまう前に
担当薬剤師:前原
不定愁訴のご相談で感じるのは、「基本的に、諦めてしまっている方がとても多い」ということです。
「検査で異常がないなら、気のせいなんだろう」
「もう歳だから、年のせいで仕方ない」
「あとは精神科や心療内科に行くしかないのかな」
どれも、ご本人が悪いわけではありません。「異常なし」と言われ続ければ、そう思ってしまうのが自然です。
でも、つらい症状が実際にあるなら、それは気のせいではなく「検査に表れないだけで、体のバランスは確実に乱れている」ということです。そして「異常なし」という結果は、大きな病気が隠れていないという大切な安心材料でもあります。そこから先の「働きの乱れを立て直す」仕事は、漢方の出番です。諦める前に、一度お話を聞かせてください。
【改善実例】「異常なし」の不調が漢方で穏やかになった2つのケース
【50代 女性】検査では異常なし。それでも抜けないだるさの正体は「環境の変化」でした
50歳になった頃からずっと体調が悪く、だるさが抜けない状態が続いていました。心配になって病院で検査を受けたものの結果は「異常なし」。原因も対処法も分からず、困り果てて太陽堂にご相談に来られました。
お話を詳しく聞いていくと、ちょうど不調が始まった時期に生活環境が大きく変わっていたことが分かりました。環境の変化によるストレスで気の巡りが滞り、自律神経が乱れている状態と見立て、太陽堂からは滞った気を発散させる漢方薬をご提案しました。
- 3ヶ月後: だるさがだいぶ軽くなり、調子の良い日が増えてきたとのご報告。
- 1年後: 体調の安定が定着し、無事に漢方ケアのご卒業(服用終了)となりました。
【60代 男性】動悸と脇腹の痛み。病院を回っても「異常なし」
1年前から動悸と脇腹の痛みを感じるようになり、病院でいろいろな検査を受けても結果は異常なし。何ヶ所か病院を回るうちに「肋間神経痛」「心臓神経症」「気のせい」と言われ方が変わり、処方されたお薬を飲んでも改善しないまま、太陽堂にご相談に来られました。
太陽堂からは、気や水の巡りを整える漢方薬をお渡ししました。
- 3ヶ月後: 症状の強さが、10だったものが2〜3程度まで減少。
- 6ヶ月後: 症状がほぼなくなったため、漢方の量を減らしました。
- 1年後: 症状のない状態が続き、漢方終了となりました。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。
ご自身でできる、毎日のセルフケア(養生法)
漢方薬とあわせて、生活の中でできる小さな工夫も、体のバランスを整える助けになります。
- 起きる時間をそろえて朝日を浴びる: 自律神経の切り替えのリズムは「朝」に作られます。休日も起きる時間を大きくずらさないことが、眠りとだるさの改善につながります。
- 軽い運動で「気」を巡らせる: ウォーキングやストレッチなど、じんわり汗ばむ程度の運動は、滞った気を発散させる一番身近な方法です。
- 深い呼吸で緊張をゆるめる: 「4秒吸って、7秒かけてゆっくり吐く」腹式呼吸は、高ぶった神経を鎮める助けになります。寝る前の習慣がおすすめです。
- 冷たい飲食を控えて胃腸を守る: 「気」も「血」も、胃腸で作られます。白湯や温かい食事で胃腸を労わることが、エネルギーづくりの土台になります。
不定愁訴と漢方についてのよくあるご質問(FAQ)
まだ病院に行っていません。先に漢方を試してもいいですか?
まずは一度、病院で検査を受けることをおすすめします。
甲状腺の異常や貧血など、西洋医学的な治療を優先すべき病気が隠れていないかを確認することが、安全に体質ケアを進める第一歩だからです。「異常なし」と確認できたら、そこからは漢方の出番です。
心療内科のお薬(安定剤・睡眠薬)と併用できますか?
はい、基本的には併用いただけます。
西洋薬でつらい症状を和らげつつ、漢方で「なぜ乱れやすいのか」という体の土台を整えていく両輪のケアが可能です。安全のため、お薬手帳を必ずお持ちください。
症状が多すぎて、何から話せばいいか分かりません。
全部お話しいただいて大丈夫です。
不定愁訴は症状が多いこと自体が大切な手がかりです。一見バラバラな症状も、深掘りしていくと「共通の根っこ」につながっていることがよくあります。メモに書き出してお持ちいただくのもおすすめです。
どのくらいの期間で良くなりますか?
平均して1〜3ヶ月でだるさや眠りに変化を感じ始める方が多いです。
長く続いた不調ほど、立て直しにも時間がかかります。焦らずご自身のペースで、半年〜1年かけて「不調に戻らない体」を育てていきましょう。
今まで大きな病気をしたことがないので、病気のはずはないと思うのですが…
「ずっと健康だったから」「まだそんな歳ではないから」は、実は当てにならない物差しです。
体の不調を感じているのに、「今まで病気になったことがない=これからも病気になるはずがない」と考えて放置してしまう方が、一定数いらっしゃいます。残念ながら、病気はこれまでの健康歴や年齢に関係なくやってきます。だからこそ、まず病院の検査で大きな病気が隠れていないことを確かめ、そのうえで残った不調を漢方で整える——この順番を太陽堂は大切にしています。
まとめ:「異常なし」のつらさは、諦めなくていい不調です
検査で異常がないのに続く不調は、決して気のせいでも、年のせいだけでもありません。
検査に表れない「体のバランスの乱れ」を丁寧に読み解き、立て直していくことは、漢方が何百年も積み重ねてきた得意分野です。
「どこに相談すればいいのか分からなかった」という方こそ、一人で抱え込まず、お気軽にLINEやDMで『不定愁訴相談希望』とご連絡ください。専門の薬剤師が1時間以上かけてじっくりお話をうかがい、あなたの不調の根っこを一緒に探していきます。
関連する疾患・次に読むページ
太陽堂には、原因不明の不調や自律神経の乱れに関する詳しい解説ページをご用意しています。ご自身の状況に合わせてぜひご覧ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。












