
「健康診断の血液検査やエコーで『脂肪肝ですね』と言われた。お酒はほとんど飲まないのに、なぜ?」
「病院の先生には『まずは痩せなさい』と言われただけで、お薬も出ずに終わってしまった」
「ここ数年で体重が増えてきて、それに伴ってγ-GTPやALT、ASTの数値が年々上がってきている」
「このまま放っておいて、将来肝炎や肝硬変になったらどうしようと不安……」
太陽堂へ寄せられる脂肪肝のご相談は、健康診断の血液検査で指摘を受けたことをきっかけに来られる方がほとんどです。その中で、お酒を日常的に飲む方と、お酒をほとんど飲まない方(非アルコール性)の割合は、実はおよそ半々です。
どちらの方にも共通しているのは、「体重の増加と肝臓の数値の上昇が連動していること」、そして「病院で具体的な治療法が提示されず、どうすればいいか分からない」という深いお悩みです。
今回は、「お酒を飲まないのに脂肪肝と言われたけれど、漢方で何ができるの?」という疑問に対する正直な答えと、代謝と解毒の力を高めて「肝臓に溜まった脂を処理できる身体」へと戻していく漢方アプローチについて、薬剤師の視点から詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「お酒を飲まない脂肪肝」に対する漢方の考え方】
- 不調の正体(原因): 西洋医学では過剰な糖質や脂質が中性脂肪として肝細胞に蓄積した状態とされますが、漢方では代謝・解毒機能の低下(脾虚)と、肝臓内での脂肪の停滞によるくすぶる炎症(湿熱・瘀血)が根本原因と考えます。
- 漢方の解決策: 漢方薬を飲むだけで魔法のように痩せるわけではありません。「食事と運動」という土台を整えつつ、漢方で肝臓の炎症の火種を鎮め、代謝・解毒の力を高めることで、溜まり込んだ脂を身体の外へ処理できる体質へと導きます。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、脂肪肝、γ-GTP・ALT・ASTの数値上昇、体重増加に伴う肝機能低下
脂肪肝とは?なぜ病院では「痩せなさい」としか言われないのか
脂肪肝とは、肝臓の細胞の中に中性脂肪(トリグリセリド)が過剰に溜まりすぎた状態を指します。いわゆる肝臓のフォアグラ状態です。
脂肪肝には、アルコールの過剰摂取が原因のものと、お酒をほとんど飲まないのに起こる「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:ナッフルディー)」があります。近年急増している後者のNAFLDは、食べ過ぎ、運動不足、体重の増加(肥満)、糖尿病、脂質異常症などと深く関係しています。
脂肪肝が抱える「本当の怖さ」と西洋医学的メカニズム
脂肪肝そのものには、痛みやだるさといった自覚症状がほとんどありません。そのため、多くの方は健康診断の血液検査(γ-GTP、ALT、AST)や腹部エコー検査で初めて指摘されて驚かれます。
問題なのは、脂肪肝を放置していると、一部の方で蓄積した脂肪に炎症が加わり「非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)」へと進行してしまうことです。この炎症が長期間続くと、肝臓の細胞が壊れて硬くなり(線維化)、数年〜十数年かけて肝硬変や肝臓がんへと進行するリスクが高まります。
病院での治療の限界とお薬
実は、西洋医学において脂肪肝そのものを直接的に改善する特効薬は、現在のところ存在しません。(※糖尿病などを合併している場合は、SGLT2阻害薬などが処方されることがあります)
そのため、病院の診察では「食事療法・運動療法・減量」が基本の対応となります。お医者様が「まず痩せなさい」と言い、お薬が出ないのは、こうした医療上の背景があるためです。しかし、患者さまからすれば「何をどうすれば良いのか分からないまま突き放された」と感じてしまい、行き場を失って太陽堂へご相談に来られるケースが後を絶ちません。
【薬剤師コラム①】「痩せなさい」と言われて困っている方へ
担当薬剤師:林 泰太郎(調剤薬局・漢方専門薬局での勤務経験あり)
脂肪肝のご相談は定期的にお受けしますが、正直に申し上げますと、「まだ脂肪肝の段階」でご来店される方はそこまで多くはありません。太陽堂には、脂肪肝がさらに進行して肝炎や肝硬変になってしまってからご相談に来られる方の方がずっと多いのが実情なのです。
だからこそ、私はあえてこうお伝えしています。「脂肪肝の数値を指摘された今の段階こそが、身体を立て直す一番のチャンスであり、最も動きやすいタイミングですよ」と。
病院で「痩せなさい」と言われて困っている方には、私も基本的には同じことをお伝えしています。「バランスの取れたお食事と定期的な運動は必ず続けてくださいね」と。
「なんだ、結局それしかないのか」と思われるかもしれませんが、日々の養生はすべての土台づくりです。土台が整ってこそ、漢方薬も本来の効果を最大限に引き出すことができます。
漢方薬は、その努力の土台の上で、「脂を処理して解毒する力」そのものを根本から底上げする役割を担います。「頑張って食事制限をしているのに数値が動かない」「体重がなかなか減らない」と壁にぶつかっている方は、土台と漢方を組み合わせるアプローチをぜひ一度ご相談ください。
【比較表】西洋医学と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 血液検査・エコーでの経過観察、合併症の管理、減量指導 | 代謝・解毒機能の底上げ、肝臓にこもった炎症の鎮静化 |
| が得意なこと | 肝炎や肝硬変への進行評価、糖尿病・脂質異常症の西洋薬管理 | 脂を処理しやすい身体作り、疲れやすさ等の自覚症状の緩和 |
| 代表的な手段 | 生活習慣の指導、経過観察、(合併症があれば)糖尿病治療薬など | 清熱解毒薬(炎症を抑える)、健脾薬(代謝を上げる)の組み合わせ |
| お互いの関係性 | 病態の進行を正確に評価する「安全の羅針盤」 | 食事と運動の努力を後押しし、処理能力を高める「身体の頼もしい土台」 |
漢方から見た「脂肪肝になりやすい体質」と2本柱のアプローチ
東洋医学(漢方)では、脂肪肝を単に「肝臓に脂がついた結果」だけの問題とは考えません。「なぜあなたの身体は、入ってきた脂や糖をスムーズに処理しきれず、肝臓に溜め込んでしまうようになったのか」という、代謝機能の低下(脾虚)や老廃物の停滞(湿熱・瘀血)といった体質に目を向けます。
太陽堂での脂肪肝・NASHに対する漢方の組み立ては、大きく分けて以下の「二本柱」で行います。
① 肝臓でくすぶる炎症を鎮める(清熱解毒・清熱利湿)
- お身体の状態: 血液検査でALTやAST、γ-GTPが高く、疲れやすい、だるい。
- 漢方的見解: 肝臓に溜まった過剰な脂が刺激(毒素)となり、肝臓の内部で慢性的な炎症(漢方でいう「熱」や「湿熱」)がくすぶっている状態です。
- アプローチ: まずはこの火種となる熱を穏やかに冷まし、肝臓の炎症を和らげる漢方薬を用いることで、検査数値の落ち着きを目指します。
② 代謝・解毒の力を高める(健脾・理気・活血)
- お身体の状態: お酒は飲まないのに体重と一緒に肝臓の数値が上がってきた、ぽっちゃり体型。
- 漢方的見解: 胃腸(脾)の働きが落ち、入ってきた脂や糖をエネルギーに変えて処理する力が低下し、余分なもの(痰湿)として肝臓に溜め込んでしまっている状態です。
- アプローチ: 胃腸の働きを助け、余分な脂や水分を処理して体外へ出す代謝・解毒機能を高める漢方薬で立て直します。体重の変化と連動しやすいのは、こちらの柱が整ってきた時です。
※胆石や胆砂を伴う場合: 腹部エコーで胆石や胆砂を指摘されている方、みぞおちや背中が張る方は、脂の消化に関わる「胆汁」の流れが滞っています。この場合は、胆石・胆砂を流しやすくする漢方薬を補助として加えることもあります。
【薬剤師コラム②】控える脂と、食べて良い脂——脂肪肝の食事の整理
担当薬剤師:石川 満理奈(調剤薬局での勤務経験あり)
脂肪肝の方へ食事のアドバイスをすると、「これからは脂っぽいものを一切食べてはいけないんですね」と極端に脂質をカットしてしまう方がいらっしゃいます。
私たちがいつもお伝えしているのは、「脂を全部やめる」のではなく「脂の種類を賢く選ぶ」ということです。
【控えていただきたいもの】
- 油物(揚げ物やスナック菓子)
- 白砂糖を含む甘いもの・ジュース類
- 乳製品、バター、肉の脂身(飽和脂肪酸)これらは肝臓にダイレクトに負担をかけ、中性脂肪として溜まりやすい性質を持っています。
【むしろ積極的に食べて良いもの】
- 青魚(サバ、イワシなど)やアマニ油(不飽和脂肪酸:オメガ3系)
- ささみ、鶏むね肉、豆腐などの低脂質で良質なタンパク質
「お肉を減らして青魚の回数を増やす」「揚げ物を、焼き物や蒸し物に変える」「食後の甘いジュースやコーヒーをやめてお茶にする」。
この3つを意識するだけでも、肝臓への負担は大きく変わります。「全部ダメ」ではなく「種類を選ぶ」と考えると、ストレスなく続けやすくなりますよ。漢方薬と一緒にこの食習慣を続けることで、肝臓の数値と体重の両方がスムーズに動きやすくなります。
【サポート実例】太陽堂での体質ケアのエピソード
①【ALT101・γ-GTP140】昭和57年生 男性|9ヶ月で数値が大幅改善、1年で服用終了
【ご相談時の状態】 何年か前から健康診断で肝臓の数値を指摘され、「脂肪肝」と診断されていた方です。直近の血液検査ではAST40・ALT101・γ-GTP140とすべての数値が基準値を大きく超えており、無理をした時の身体の疲れやすさも気になるとのことでご相談に来られました。
【太陽堂の提案】 肝臓内のくすぶる炎症(湿熱)と代謝機能の低下と見立て、①肝臓の炎症を改善する漢方薬 ②肝臓の働き(解毒・代謝)を良くする漢方薬 の2種類をお渡しし、並行して食事の見直し(脂質の選択)も一緒に進めていただきました。
- 3ヶ月後: ご自身でも食事の養生をしっかりと続けていただき、体調は非常に良いとのこと。少しずつ体重も減ってきました。
- 9ヶ月後: 血液検査の結果、AST25・ALT41・γ-GTP55とすべての数値が大幅に改善。病院の先生にも驚かれたとのことでした。
- 1年後: その後も検査数値が安定して良い状態を維持できているとのことで、今回で服用終了となりました。
②【5〜6年前から続く脂肪肝】昭和44年生 女性|4ヶ月でγ-GTPが110から86へ
【ご相談時の状態】 5〜6年ほど前の健康診断で「脂肪肝」と診断された方です。γ-GTPが110まで上がってしまい、漢方で体質からの改善が見られればとのことでご相談に来られました。
【太陽堂の提案】 肝臓の炎症と脂質代謝の低下と見立て、①肝臓の炎症を改善し数値を整える漢方薬 ②肝臓の働きを良くする漢方薬 の2種類を組み合わせてお渡ししました。
- 4ヶ月後: 血液検査にて、γ-GTPが110から86まで順調に減少。数値も大分改善が見られているとのことで、現在もさらなる改善に向けて継続中です。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。他の症例は症例紹介(肝臓・胆のう疾患)にも掲載しています。
「脂肪肝と漢方」に関するよくあるご質問(FAQ)
お酒を全く飲まないのに脂肪肝と言われました。漢方で改善を目指せますか?
はい、食事・運動と漢方薬を組み合わせることで、体質からの改善を目指せます。
お酒を飲まない方(NAFLD/NASH)の脂肪肝は、体重の増加や日々の糖質・脂質の摂り方と深く連動しています。肝臓の炎症を鎮めながら、代謝と解毒の力を高める漢方薬を用いることで「脂を処理できる身体」を目指します。ただし、漢方薬を飲むだけで勝手に痩せるわけではありませんので、食事と運動の土台作りは必ず一緒に進めていきましょう。
病院で「痩せなさい」と言われただけでお薬は出ませんでした。漢方薬局に相談しても良いのでしょうか?
はい、まさにそういった段階の方にこそ、漢方薬がお役に立てます。
脂肪肝そのものを治す西洋薬は非常に限られているため、病院の「お薬を出さずに様子を見る(食事・運動指導)」という判断は医療として妥当なものです。しかし、「頑張っているのに数値が動かない」「疲れやすくて運動できない」という方には、代謝の底上げと炎症の沈静化という点で、漢方薬がお手伝いできることがたくさんあります。病院の定期検査は続けながら、並行してご相談ください。
どのくらいの期間、漢方薬を続ければ変化を感じられますか?
お身体の状態によりますが、まずは「3ヶ月」を一区切りの目安としてお願いしております。
3ヶ月ほどで、身体の疲れやすさやだるさといった体調面での変化が現れ始めます。肝臓の数値(ALTやγ-GTPなど)は血液検査で客観的に確認できるため、次の健診や定期検査の数値を一緒に見ていきます。症例のように、数値が基準値近くまで落ち着くには半年〜1年ほどかかる方が多いため、焦らずじっくりと取り組むことをお勧めしています。
まとめ:「痩せなさい」で終わらせず、脂を処理できる身体へ
病院で「脂肪肝ですね。痩せてください」と言われて途方に暮れている方に、太陽堂からお伝えしたい大切なメッセージは以下の3つです。
- 脂肪肝は「なぜ身体が脂を溜め込むようになったのか」という代謝の低下のサイン
- 「控える脂」と「食べて良い脂」を賢く選び、身体の土台を整える
- 漢方薬で「肝臓の炎症を鎮める」「代謝・解毒の力を高める」の二本柱でサポートする
脂肪肝の段階は、将来の肝炎や肝硬変という引き返せない状態へ進んでしまう前に、しっかりと手を打てる最も大切なタイミングです。
「食事に気をつけているのに数値が下がらず不安だ」
「次の健康診断を、少しでも安心して迎えたい」
そんなお悩みを抱えている方は、どうぞ一人で抱え込まずにお気軽に太陽堂へご相談ください。
脂肪肝への太陽堂の詳しいアプローチは、こちらの専門ページをご覧ください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
ご自身の状態に近いものを下の表から選んで、詳しいページをご覧ください。
| こんな方は | 病気・記事 | 詳しいページ |
| 健診で脂肪肝を指摘された、数値が少しずつ上がっている | 脂肪肝 | 👉 脂肪肝でお悩みの方へ |
| お酒を飲まないのに「脂肪肝炎」と言われた | 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) | 👉 NASHでお悩みの方へ |
| コレステロールや中性脂肪も高いと言われている | 脂質異常症 | 👉 脂質異常症でお悩みの方へ |
| エコーで胆石・胆砂も見つかっている | 胆石・胆砂・胆泥 | 👉 胆石でお悩みの方へ |
| 症状はないが健診の数値だけが高い、「経過観察」と言われた | ブログ:健診で肝機能の数値が高いと言われたら | 👉 肝機能の数値と漢方の記事へ |
| 胆石を溶かす漢方やお茶があるのか知りたい | ブログ:胆石を溶かす漢方・お茶はある? | 👉 胆石と漢方・お茶の記事へ |
| 痔のお悩みもある、肝臓とお尻の関係が気になる | 解説:肝臓のケアとお尻の悩み | 👉 肝臓と痔の関係の記事へ |
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。









