
「雨が降る前になると、頭が重くズキズキと痛む」
「台風が近づくと、鎮痛剤を手放せなくなる」
こうした気圧や天候の変化によって引き起こされる頭痛は、近年「天気痛」や「気象病」と呼ばれ、多くの方を悩ませています。
辛い痛みを一時的に和らげるお薬は便利ですが、「毎回お薬に頼り続けるのは不安」「根本的に体質を見直したい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、低気圧頭痛が起こるメカニズムと、体質に合わせて選ぶ代表的な漢方薬を3つご紹介します。
なぜ気圧が下がると頭痛が?西洋と漢方の視点
まずは、天気痛が起こる仕組みについて、調剤薬局で西洋薬を扱ってきた経験を持つ薬剤師・前原先生が解説します。
薬剤師:前原 信太郎(調剤薬局勤務 6年の経験)
気圧が急激に下がると、耳の奥にあるセンサー(内耳)が過剰に反応し、自律神経のバランスが乱れます。その結果、脳の血管が拡張して周囲の神経を圧迫し、ズキズキとした痛みを引き起こすのが、西洋医学的な『天気痛』のメカニズムです。
こうした今すぐ止めたい痛みに対しては、ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)が非常に有用です。痛みの原因物質(プロスタグランジン)の発生をすばやく抑えるため、頓服として頼りになる存在です。
一方、漢方の視点では、気圧の変化に体が過剰反応してしまう根本原因を『水毒(すいどく)』にあると考えます。
体内の水分代謝が悪く、余分な水が溜まっていると、気圧の低下に伴って体内の水が膨張し、頭部の血管や神経を圧迫してしまうのです。鎮痛剤でその場の痛みを抑えつつ、漢方で『水はけの良い体』を目指すことが、繰り返すお悩みを和らげる近道になります。
【比較表】体質で選ぶ、頭痛にお悩みの方向けの漢方薬3選
漢方薬は、「頭痛だからこれ」と一つの漢方に決まるわけではありません。痛みの種類や、ご自身の体質(証)に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、気圧による頭痛によく用いられる代表的な漢方を3つご紹介します。
| 漢方薬名 | 痛みの特徴・サイン | 漢方的な原因(体質) | こんな方にお勧め |
| 五苓散 (ごれいさん) | ズッシリ重い、むくみを伴う、めまい | 水毒 (体内の余分な水分) | 雨の日に頭が重だるい、気圧の変化に弱い方 |
| 呉茱萸湯 (ごしゅゆとう) | ズキズキ激しい、吐き気を伴う、手足の冷え | 寒・血流不足 (冷えによる滞り) | 慢性的な偏頭痛、体を温めると少し楽になる方 |
| 川芎茶調散 (せんきゅうちゃちょうさん) | 首や肩のコリを伴う、風に当たると痛む | 外感・気滞 (外からの刺激や緊張) | ストレスや緊張を感じやすい、風の強い日に痛む方 |
(※上記は一般的に知られている代表的な漢方です。太陽堂では、これらをベースにさらに細かく体質に合わせたオーダーメイド調合をご提案しています。)
薬剤師が解説する、各漢方薬の特徴
上記の漢方薬がどのように体をサポートするのか、胃腸と水分の関係に詳しい薬剤師・石川先生が解説します。
薬剤師:石川 満理奈(担当:胃腸・体質改善)
① 五苓散(ごれいさん):水はけをサポートする代表格
「雨の日の不調といえば五苓散、と言われるほど有名な処方です。胃腸の働きを助けながら、体に溜まった余分な水分を尿として外へ出す(利水)サポートをします。細胞のむくみを和らげることで、重だるい頭痛にアプローチします。」
② 呉茱萸湯(ごしゅゆとう):冷えと吐き気を伴う痛みに
「みぞおちからお腹、手足をしっかりと温める力が強い漢方です。冷えによってギュッと縮こまった血管をゆるめ、血流を促すことで痛みを和らげます。痛みが強くて気持ち悪くなってしまう方に適しています。」
③ 川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん):上半身の滞りを巡らせる
「頭や顔など、上半身の『血(けつ)』や『気』の巡りを良くする生薬が配合されています。肩こりからくる緊張型の痛みや、生理前などホルモンバランスの揺らぎに伴うお悩みにもよく用いられます。」
【サポート事例】10年来の慢性的な痛みに対するアプローチ
太陽堂にご相談いただいた方のケースをご紹介します。
【ご相談者様】 10代 女性
小学校の頃から「目頭からこめかみにかけての痛み」に悩み、市販の鎮痛剤を常用していましたが、天気の悪い日は学校を休んでしまうこともあり、お母様とご相談にいらっしゃいました。
【太陽堂の漢方】
ご本人の体質を詳しくお伺いし、冷えと血流の滞りが見られたため「呉茱萸湯」をベースに、体質に合わせた薬味を調整してご提案しました。
- 開始から2ヶ月: 少しずつお悩みの頻度が減り、日常生活が送りやすくなってきたとのこと。
- 開始から5ヶ月: 例年、梅雨の時期は痛みが強く休みがちでしたが、この年の梅雨は一度も休まずに登校できたと嬉しいご報告をいただきました。
- 開始から10ヶ月: 体質が整い、痛みに怯えることなく毎日を過ごせるようになったため、ご本人の希望により服用を卒業(終了)とさせていただきました。
ご自身の持っている「体を整える力」を引き出すことができた、素晴らしいケースです。
(※結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。)
5. 【注意】その頭痛、緊急性はありませんか?
慢性的な天気痛ではなく、以下のような症状が現れた場合は、漢方や市販薬で様子を見ず、速やかに医療機関(脳神経外科や救急)を受診してください。
- 「後頭部をハンマーで殴られたような」突然の激痛
- 手足のしびれ、呂律(ろれつ)が回らない
- これまでに経験したことがない、発熱を伴う強い痛み
これらは、くも膜下出血など、緊急を要するサインである可能性があります。
よくある質問(FAQ)
ロキソニンなどの病院の鎮痛剤と、漢方薬は併用できますか?
基本的には併用可能です。
痛みが我慢できない時はロキソニンなどの西洋薬で痛みをブロックし、平時からは漢方薬で「水はけの良い体質」へ整えていく、という両立が無理のないアプローチです。
併用の際は飲み合わせを確認しますので、お気軽にお知らせください。
漢方薬は、飲んでどれくらいで変化を感じますか?
お悩みの状態によって異なります。
五苓散などを頓服的に用いて比較的早く変化を感じる方もいらっしゃいますが、根本的な体質(水毒や冷え)を見直す場合は、3ヶ月〜半年ほどじっくり継続していただくことで、徐々に天候に振り回されにくい体づくりを目指します。
まとめ:あなたの体質に合わせたアプローチを
「雨の日だから仕方ない」と痛みを我慢し続ける必要はありません。
頭痛の原因が「水」にあるのか、「冷え」にあるのかは、人それぞれ異なります。ご自身の体の声を正しく知り、体質に合ったアプローチを選ぶことが、快適な毎日への第一歩です。
太陽堂では、その方一人ひとりの「自覚症状」を詳しくお伺いし、西洋と東洋の両面から、あなたに最適な体質改善をサポートいたします。
頭痛だけでなく、「めまい」や「体全体のだるさ」など、気象病全般の不調にお悩みの方、また日常でできるセルフケア(耳マッサージなど)を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。












