
「春先は平気なのに、秋になると鼻水やくしゃみが止まらなくなる…」
「目のかゆみだけでなく、喉のイガイガや咳まで出てきて辛い…」
「春に使っていた対策の漢方を飲んでも、なんだかスッキリしない…」
秋風が心地よくなる9月から10月にかけて、このような不調にお悩みではありませんか? それは風邪ではなく、ブタクサやヨモギなどの雑草による「秋の花粉症」かもしれません。
同じ「花粉症」という名前がついていますが、実は春(スギ・ヒノキ)と秋(ブタクサ・ヨモギなど)では、季節特有の気候条件が全く異なります。そのため、体の中で起きているアンバランスの理由も異なり、春と同じケアをしていてはコンディションが整いにくいのです。
今回は、秋のアレルギー症状が春とどう違うのかというメカニズムから、漢方における「乾燥とバリア機能」の深い関係、そして食事や生活習慣で体の内側から整える秋特有の養生法を、太陽堂の薬剤師が詳しく解説いたします。
【太陽堂が教える、秋の花粉症の養生まとめ】
まずは、当薬局が考える秋のアレルギー症状へのアプローチを簡潔にまとめました。
- 漢方の見立て(原因):西洋医学では「ブタクサ等のアレルゲン侵入による免疫の過剰反応」とされる秋の症状ですが、漢方では、秋特有の外部要因である「激しい乾燥(燥邪:そうじゃ)」が、皮膚や粘膜の潤いを奪い、体を守るバリア機能である「衛気(えき)」のバランスを崩して無防備な状態にしていることに注目して原因を探ります。
- アプローチ(対策):レンコンや白ごまなど「粘膜に潤いを与える食材」を取り入れた日常の食事ケア(養生)と、一人ひとりの体質に合わせたオーダーメイドの煎じ薬を通じて、秋の厳しい乾燥から身を守る「体の土台づくり」をサポートします。体が本来持つ潤す力とバリア機能を内側から引き出します。
- 今後のステップ(根本ケア):一時的な抗アレルギー薬で症状をしのぐだけでなく、根本的な原因(もともとの粘膜の弱さや、体内の水分保持力の低下など)を見極めるため、まずはじっくりとご相談を重ね、季節の変化にも揺らぎにくい長期的な体質と向き合っていきます。
【薬剤師 林の視点】秋と春の花粉症の違いと、西洋医学・漢方のアプローチ
こんにちは、薬剤師の林です。
「アレルギーにはこのお薬」と一概に言えないのが、季節による体の状態の違いです。特に秋は、空気がカラカラに乾いていることが大きなポイントになります。
西洋医学の視点:アレルギー反応のメカニズムと抗ヒスタミン薬
西洋医学におけるアレルギー反応のメカニズムは、春も秋も基本的には同じです。体内に花粉(アレルゲン)が侵入すると、それを外へ追い出そうとして「ヒスタミン」などの化学物質が放出され、くしゃみ、鼻水、目のかゆみといった症状が引き起こされます。ただし、秋の花粉(ブタクサやヨモギなど)は背の低い雑草であるため、風に乗って遠くまで飛ぶスギ花粉とは違い、公園や河川敷など「生活圏の身近な場所」で局地的に浴びやすいという特徴があります。
西洋医学的な視点では、アレルゲンを回避することを基本とし、症状に応じて抗ヒスタミン薬や点鼻薬、点眼薬などを用いて、過剰なアレルギー反応を抑え込み、日常生活を快適に送るためのサポートを行うことが推奨されます。
漢方の視点:春は「水滞(すいたい)」、秋は「燥邪(そうじゃ)」
一方、漢方の視点では、症状を引き起こすベースにある「季節の邪気」が春と秋で大きく異なると考えます。
春の花粉症は、冬の間に溜め込んだ老廃物や余分な水分が、春の風(風邪:ふうじゃ)に乗って一気に上部(鼻や目)へ溢れ出す「水滞(すいたい)」がメインになることが多いです。そのため、春は「余分な水を捌いてスッキリさせる」アプローチが中心となります。
しかし、秋の花粉症の背景にあるのは「乾燥(燥邪:そうじゃ)」です。秋になり空気が乾くと、鼻や喉の粘膜、そして皮膚の潤いが奪われます。潤いが失われると、体を外敵から守るバリアである「衛気(えき)」が正常に働かなくなります。
バリアがスカスカになった粘膜にブタクサやヨモギの花粉が付着するため、秋は鼻水だけでなく「喉のイガイガ」「乾いた咳」「肌のかゆみ」といった乾きのトラブルを伴いやすいのです。
ここで春と同じ「水を捌く」アプローチをしてしまうと、ただでさえ乾いている粘膜からさらに水分を奪ってしまい、逆効果になることがあります。
漢方では、この状態に対して、体にたっぷりと潤いを与えて粘膜を保護し、破られたバリア機能(衛気)を立て直すアプローチ(滋陰潤肺・益気固表などの考え方)を用いて、乾いた空気に負けない健やかな体の土台づくりを内側からサポートしていきます。
【薬剤師 椙田の視点】バリアを張って潤いを守る、秋の食事と生活養生
薬剤師の椙田です。
秋のアレルゲンから身を守るためには、マスクやメガネで物理的にブロックするのと同時に、毎日の食事で「内側のバリア(粘膜の潤い)」を強化することが不可欠です。
「白い食材」と「ネギ・生姜」の合わせ技
秋に粘膜を守るためには、肺を潤す「白い食材」が欠かせません。梨、レンコン、白キクラゲ、豆腐などが代表的です。そして、秋にさらに意識したいのが、体の表面にバリア(衛気)を張るサポートをしてくれる「少しピリッとする香りの良い食材」です。長ネギ、生姜、シソなどがこれに当たります。
- おすすめの組み合わせ: すりおろしたレンコンと生姜を入れた温かいスープや、豆腐にたっぷりのネギとシソを乗せた冷奴(常温に近いもの)。潤いを与える食材と、バリア機能をサポートする食材を組み合わせることで、秋特有のダメージから体を優しく守る土台が整います。
帰宅後はすぐに「手洗い・うがい・洗顔」
ブタクサやヨモギは背が低いため、足元や衣服の下の方に花粉がつきやすい特徴があります。公園を散歩した後や、河川敷を通って帰宅した後は、玄関で衣服をしっかりと払いましょう。
そして、秋は肌のバリア機能も落ちているため、顔についた花粉が肌荒れやかゆみを引き起こすことがあります。帰宅後はうがい・手洗いだけでなく、すぐに優しく「洗顔」をして花粉を落とし、しっかりと保湿ケアを行うことが大切です。
【比較表】秋の花粉症を防ぐ!OK・NG行動リスト
| カテゴリ | 〇 おすすめ(潤いとバリアを整える) | × 要注意(乾燥を進め、バリアを壊す) |
| 食事 | レンコン、長ネギ、シソなどを使った温かいスープ (粘膜を内側から潤し、花粉を跳ね返すバリア機能をサポートする) | 激辛料理や、水分の少ないパサパサした食事 (体内の貴重な潤いを奪い、粘膜をカラカラにして過敏にさせる) |
| 行動 | ブタクサなどが多い河川敷や空き地を避ける (アレルゲンの発生源に近づかないことで、物理的な接触を減らす) | ブタクサが茂る草むらを、無防備な薄着や半ズボンで歩く (足元から花粉を巻き上げ、皮膚や粘膜に直接付着させてしまう) |
| 帰宅後 | すぐに洗顔し、保湿クリームで肌を守る (顔についた花粉を落とし、乾燥による肌バリアの低下を防ぐ) | 花粉がついた服のまま、リビングのソファでくつろぐ (室内に花粉を撒き散らし、夜間の咳や鼻づまりの原因を作る) |
秋の花粉症に関するよくある質問(FAQ)
春にもらって余っている花粉症の漢方薬を飲んでも良いですか?
A. 体質や症状によりますが、合わない可能性があります。
記事でお伝えした通り、春の花粉症(水滞メイン)と秋の花粉症(乾燥メイン)では、体の状態が異なることが多いです。春用の「水を捌く」タイプのアプローチを秋に用いると、粘膜の乾燥を助長してしまい、喉のイガイガや咳が悪化する恐れがあります。まずは現在の状態をご相談いただき、今の季節に合ったアプローチを選ぶことが大切です。
鼻水だけでなく、喉の奥が痒くて咳が出ます。
A. 乾燥によって気道の粘膜が敏感になっているサインです。
秋は「燥邪」の影響で喉や気管支の粘膜が乾きやすくなります。そこに花粉が付着すると、激しいかゆみや「空咳」を引き起こします。抗アレルギー薬だけでなく、レンコンやはちみつなどの潤い食材を取り入れ、加湿器などで湿度を保つケアを併行して行ってください。
毎年秋になると症状が出ますが、根本から体質を変えることはできますか?
A. はい、季節の変わり目に向けた「事前の土台づくり」が鍵となります。
花粉が飛び始めてから慌ててケアをするのではなく、夏の終わり頃から胃腸を整え、潤いとバリア機能(衛気)を補うアプローチを始めることで、花粉の時期を迎えても揺らぎにくいコンディションを目指すことができます。長期的な視点で体質と向き合うことが、漢方サポートの最大のメリットです。
まとめ:春と秋の違いを知り、潤いバリアで快適な季節へ
「春は平気なのに、秋になると必ず調子を崩してしまう…」
その不調は、ブタクサなどの花粉に加えて、秋特有の「乾燥」があなたの粘膜のバリアを奪ってしまっているサインです。
春の花粉症とはメカニズムが違うことを理解し、外側からのブロックに加えて、漢方の視点を取り入れた「内側からの潤い・バリアケア」を行うことで、秋の澄んだ空気を心地よく楽しめる健やかな体の土台を作ることができます。
「秋の花粉症が毎年辛い」「自分に合ったバリア機能の整え方を知りたい」という方は、ぜひ太陽堂までお気軽にご相談ください。お一人おひとりの体質に合わせた、無理のない養生法をご提案いたします。
関連ページ
太陽堂では、季節のアレルギーだけでなく、心と体の様々なお悩みに対する漢方サポートを行っております。気になる症状がございましたら、以下のページもぜひご覧ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。















