
「職場で誰かが咳をしていると、必ず真っ先に自分だけがもらう。今年に入ってもう4回も5回も風邪をひいている……」
「一度ひくととにかく長い。周りの同僚は2〜3日で治るのに、自分だけは2週間以上も咳やだるさを引きずってスッキリしない……」
「会社の健診は異常なし。市販の風邪薬も葛根湯も、良いと言われるサプリも一通り試した。でも、この『ひきやすい虚弱体質』そのものは、ずっとどうにもならないのだろうか……」
新宿の漢方薬局「太陽堂」の店頭やオンライン相談では、「風邪をひきやすい」「治りにくい」というご相談を、はっきりした病名がつく前の段階の深い悩みとしてよく伺います。
こうした方に太陽堂でご提案することが多いのは、風邪の症状をその場で止める『風邪そのものの薬』ではなく、『そもそも体力をつける漢方薬』です。
なぜなら、風邪をひくかどうか、ひいたあと治りが早いかどうかは、ウイルスの強さよりも「それを受け止める側の身体の体力(余力・バリア機能)」で決まる部分が大きいからです。
このページでは、風邪をひきやすい・治りにくい状態が起きる理由と、「ひいたときの薬」ではなく「ひきにくい身体の土台」を作る漢方の考え方を、薬剤師の視点からご説明します。
(※すでにひいてしまった風邪が長引き、こじれたときの漢方の使い分けは、別の記事でまとめていますのであわせてご覧ください。)
【この記事の結論:「風邪をひきやすい・治りにくい」に対する漢方の考え方】
- ひきやすい理由: 漢方医学では、身体の表面にバリアを張ってウイルスから守るエネルギー(衛気)と、それを作る体力(気)の不足としてとらえます。①働きづめで余力がゼロ ②胃腸が弱く、エネルギーを作る力そのものが小さい(気虚) ③眠りが浅く、回復が追いつかない——のいずれかがあると、同じウイルス量でもすぐにひきやすく、ひいたあとも長引きます。
- 漢方の考え方: 太陽堂では、風邪をひきやすい方に「体力をつける漢方薬」をご提案することが多くあります。ひいたときに慌てて飲む薬ではなく、ひきにくい身体、ひいても早く戻る身体を、胃腸と体力の面から底上げして作ります。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 年に何度も風邪をひく方、一度ひくと2週間以上長引く方、季節の変わり目に必ず体調を崩す方、家族や職場で必ず風邪をもらう方、風邪のあとに咳やだるさがいつまでも残る方、虚弱体質
「風邪をひきやすい・治りにくい」が起きる理由
同じ満員電車に乗り、同じ職場で働いていても、すぐに風邪をひく人と全くひかない人がいます。ウイルスに触れている量はほぼ同じですから、差が出るのはウイルスの側ではなく「受け止めるあなたの身体の側」です。
漢方医学では、身体の表面(鼻・のど・皮膚)に目に見えないバリアを張って外敵から守っているエネルギーのことを「衛気(えき)」と呼びます。
この衛気は、日々の体力(気)から作られるので、過労や胃腸の弱りで体力の貯金が減ると、バリアの守りが薄くなり、ウイルスが入りやすくなります。そして、入ったあとも外へ押し返す力が足りずに、結果として長引いてしまうのです。
店頭でお話を伺うと、風邪をひきやすい方には次の3つのどれか(あるいは複数)が重なっています。
- 働きづめで余力が減っている(過労): 忙しい繁忙期の終わりに必ず風邪をひく。長期休みに入った途端にホッとして熱が出る。これは仕事にエネルギーを使い切ってしまい、バリアの守りに回す体力が残っていない状態です。
- 胃腸が弱く、作る力が小さい(気虚): 食が細い、朝食を抜く、少し油ものを食べると胃もたれしやすい。体力のバリアを作る工場(胃腸)自体が小さいため、守りの分までエネルギーが回りません。「昔から体力に自信がない」方に一番多いパターンです。
- 眠りが浅く、回復が追いつかない: 風邪のあとの身体の回復作業は、深く眠っている間に進みます。眠りが浅いと治りが遅く、治りきる前に次をもらってしまいます。
※小さなお子さんが保育園や学校から次々と風邪を持ち帰る時期は、看病する大人も回数が増えます。これは体質というより環境の問題ですが、そこで「大人の方がひくたびにこじらせて長引く」なら、やはり受け止める側の余力(バリア機能)を見る価値が十分にあります。
まず、病院の検査は受けておいてください
「ただの風邪をひきやすい体質だ」と思っていても、その裏に貧血、糖尿病、甲状腺の病気、慢性の副鼻腔炎や扁桃炎、まれに免疫の病気が隠れていることがあります。
太陽堂ではご相談の際に、「一度、内科で血液検査は受けておいてくださいね。もし異常が無ければ無いで、それも漢方薬を選ぶための『とっても大切な材料』になりますから」とお伝えしています。職場の健診結果があれば、まずはそれをお持ちください。
※発熱が1週間以上続く、咳が3週間以上続く、血痰が出る、体重が急に減った、口内炎や皮膚の感染を常に繰り返す——こうした場合は、漢方の相談より先に、必ず内科や呼吸器内科を受診してください。
漢方の考え方|「ひいたときの薬」より「ひきにくい身体の土台」
風邪の漢方薬というと、「葛根湯」のようにひき始めに慌てて飲むものを思い浮かべる方が多いと思います。もちろんそれも大切ですが、「ひきやすい体質」というご相談に対して太陽堂が一番大切に見るのは、風邪ではなく「風邪をひいていない平時の期間の体力」です。
店頭では、葛根湯ではなく「体力をつける漢方薬」をご提案することが多くなります。朝鮮人参などを含み、胃腸の働きを助けて体力(気)を補う方向の漢方薬です。
バリアの守りの元手を増やすことで、ひきにくく、たとえひいても戻りやすい身体の土台を目指します。
【比較表】あなたはどれ? 3つのタイプと漢方アプローチ
| タイプ | あなたの主な症状・体質 | 太陽堂の漢方アプローチ(働き) |
| ①余力不足タイプ (過労による気の消耗) ※一番多い | 忙しい時期の終わりや、休みの初日に必ず風邪をひく。疲れると口内炎やヘルペスもすぐに出る。夕方に電池が切れる。 | 【体力(気)を補う漢方薬】 消耗した分を補い、バリアの守りに回す余力を戻します。 |
| ②胃腸が弱いタイプ (作る力の不足) | 昔から体力に自信がない。食が細い、朝食を抜く、冷たいものでお腹を壊す。風邪をひくと食欲が落ちてさらに長引く。 | 【胃腸を助け、体力を作れる身体にする漢方薬】 体力の工場(脾)そのものを大きくし、守りの元手を増やします。 |
| ③粘膜が弱いタイプ (鼻・のどの守りの弱さ) | いつも「のど」から始まる。鼻炎や副鼻腔炎の持病がある。風邪のあとに咳や鼻水がいつまでもダラダラ残る。 | 【体力を補いながら、鼻・のどの粘膜を整える漢方薬】 入口のバリアの守りを厚くし、風邪のあとの咳や鼻水を引きずらない身体にします。 |
※実際の患者さまでは、複数のタイプが混ざっている方も少なくありません。ご自身でどれか分からなくても全く大丈夫です。お話を丁寧に伺いながら、私たちのほうで整理します。
【薬剤師コラム①】「風邪薬をください」に、体力の話をする理由
担当薬剤師:前原
「風邪をひきやすいので、よく効くいい風邪薬(漢方薬)をください」と店頭で言われたとき、私はあえて少し違う話をします。
「風邪薬より、今、風邪をひいていない時のあなたの『体力の状態』を見せてください」と。
葛根湯のようなひき始めの薬は、入ってきたウイルスを汗とともに早く追い出すためのものです。でも、年に何度も何度もひく方の本当の問題は、追い出す速さではなく、「バリアが薄くて、ウイルスが入ってきやすい状態がずっと続いていること」なのです。そこの土台を変えないと、追い出しては入り、追い出しては入り、を繰り返すことになります。
だから店頭では、体力をつける漢方薬をご提案することが多くなります。朝鮮人参などを含む、胃腸を助けて体力を補う方向のものです。少し地味に聞こえるかもしれませんが、「先生、今年は不思議と冬を一度も崩れずに越せました!」という嬉しいお声は、この方向で土台から整えた患者さまからいただくことが多いのです。
【実際の記録】年に4〜5回ひいていた風邪が、漢方で落ち着いたケース
太陽堂に実際にご相談いただいた方の記録から、風邪をひきやすい体質のケースをご紹介します。(※効果の感じ方には個人差があります)
ケース:60代女性|小さいころから年に4〜5回風邪をひき、ひくと2〜3週間治らなかった方
【ご相談時の状態】 小さいころから風邪をひきやすく、年に4〜5回ほどひいてしまうとのことでご相談に来られました。風邪をひくと「喉の痛み」や「鼻詰まり」を起こし、2〜3週間ほど治らない。特に秋から冬にかけて酷いとのことでした。
【太陽堂の提案】 体力の貯金が少ない状態ととらえ、①体力をつける漢方薬 の1種類をお渡ししました。
- 経過: 服用開始から3ヶ月、喉がおかしくなるようなこともなく調子が良く、「漢方薬を飲み始めてから風邪をひいていない」とのことでした。
3ヶ月で何を目安に見るか
漢方薬は飲んで翌日に身体が変わる「魔法の薬」ではありません。風邪をひきにくい身体づくりは、特に季節をまたいでじっくり見る必要があります。太陽堂では「まず3ヶ月」を一つの単位として、次の変化を患者さまと一緒に確認しながら進めます。
- 風邪をひいた回数(「同じ季節で去年と比べて回数が減ったか」)
- ひいたときの長さ(「今まで2週間引きずっていたのが、1週間で戻るようになったか」)
- 「ひきそうでひかなかった」回数(「のどが少し痛くなりかけて、そのままひどくならずに治まった」)
- 朝の食欲と夕方の粘り(「体力の元手となる胃腸の働きが増えているか」)
- 風邪のあとの残り方(「しつこい咳やだるさが残る日数が減ったか」)
「あ、ひきそうだったけど一晩寝たらひかなかった」という経験が増えてきたら、身体のバリア(守り)が厚くなり始めたサインです。「一度もひかなくなったか」ではなく、「ひく回数と長引く日数がどれだけ減ったか(回復が早くなったか)」を一番の物差しにしてください。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
自宅でできるセルフケア・養生
漢方薬の服用と同時に、以下の養生を少しでも取り入れることで、身体のバリア機能は厚くなっていきます。
- 朝食を抜かず、温かいものを: 守りの元手となる体力は、食べたものから作られます。冷たいスムージーや生野菜だけの朝食は、胃腸の力を落とします。温かいご飯と味噌汁がバリアを作ります。
- 「ひきそう」のサインで、その日のうちに休む: のどの違和感、背中のゾクッとする感じ。ここで「薬を飲んで気合いで残業する」のではなく、無理をせずその日のうちに早く寝るだけで、本格的に長引く風邪の回数が減ります。
- 首・足首・お腹を冷やさない: 漢方医学では「風邪(ふうじゃ)は首の後ろ(風門)から入る」と考えます。マフラーやネックウォーマー、腹巻きは、体力の消耗を物理的に防ぐ道具です。
- 夜11時までに寝る: 体力の貯金が回復するのは睡眠中だけです。忙しい時期ほど、寝る時間を一番先に確保してください。
【薬剤師コラム②】「治りが遅い」は、こじらせているのではなく戻す力が足りない
担当薬剤師:林
「風邪が治りにくい」というご相談で、「自分はどうも風邪をこじらせやすい体質みたいで……」とご自身を責めるようにおっしゃる方がいらっしゃいます。
でも、お話を伺うと、ウイルスをこじらせているというより、「治りきる前に無理して仕事や家事に戻ってしまい、戻す力(体力)が追いつかないまま、疲れでまた次の風邪をもらっている」方がほとんどなのです。
風邪のあとに、しつこい咳やだるさがいつまでも残るのは、身体が「まだウイルスを追い出して戻しきれていないから、休んで」と言っているサインです。ここで栄養ドリンクで無理やりアクセルを踏んで出勤すると、残った火種が次の風邪の入口になります。
病院の検査で異常が出ないのは、体力の「余力(バリアの厚さ)」は血液の数値には表れにくいからです。異常なしの血液検査の結果を持ってきていただければ、私たちは安心して「余力」「胃腸」「粘膜」のどこを漢方薬で整えるかに集中できます。
冬を前に「今年こそ崩れたくない」という方は、寒くなる前の秋のうち(未病の段階)にご相談いただくと、土台づくりが間に合いやすいですよ。
よくあるご質問(FAQ)
風邪のひき始めにいつも「葛根湯」を飲んでいます。体力をつける漢方薬と一緒に使えますか?
はい、多くの場合、役割が違うので併用できます。ただし、葛根湯などのひき始めの薬は「飲む時期」と「患者さまの体力」によって合う合わないが分かれます。
普段から体力が落ちている方(虚弱体質の方)には、葛根湯のような「発汗させる薬」はかえって体力を奪ってしまい合わないこともあります。ひき始めの漢方薬の選び方は、別の記事でご説明しています。ご相談時に、普段使っているものを教えてください。
免疫力を上げるというサプリメントを毎日飲んでいますが、変わりません。
「上から補う」だけでは、それを受け止めて消化吸収する「身体の土台(胃腸)」がないと、働きにくいことがあります。
漢方薬は、補った材料をしっかりと吸収して『使える身体(胃腸と体力)』のほうを整えます。飲んでいるサプリを教えていただければ、一緒に整理します。
子どもの風邪をもらってばかりです。子どもと一緒に相談できますか?
はい。お子さんの「風邪をひくたびに中耳炎になったり長引く」虚弱体質のご相談も多くお受けしています。
お子さんが保育園から持ち帰る回数そのものは環境の問題ですが、親子で「ひくたびに長引く」のであれば、それぞれの体力の面から漢方で整えられます。年齢と体重・体格に合わせて飲みやすい漢方薬をご提案します。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まず「3ヶ月」を一つの単位として、風邪の回数・長さ・「ひきそうでひかなかった」回数を一緒に確認します(※個人差があります)。
風邪は季節で回数が変わるため、本当の答え合わせは「去年の同じ季節(冬など)」との比較になります。冬を一つ越えて「今年は違った」と判断する方が多くいらっしゃいます。
費用はどのくらいかかりますか?
漢方薬の費用は、週5,000円前後〜(月2万円前後〜)が目安です。相談料は無料です。
タイプによって組み合わせる漢方の内容が変わりますので、お作りする前に必ず金額をお伝えします。ご相談時にご予算のご希望も含めて率直にお伝えください。
まとめ|「ひいたときの薬」より、「ひきにくい身体」の土台を
「年に何度も風邪をひく。そして一度ひくと長い」
それはウイルスの強さではなく、受け止める側のバリア機能、つまりあなたの「体力(余力)」が減っているというサインです。
- 風邪をひきやすい方に太陽堂がご提案するのは、一時的な風邪薬ではなく「体力をつける漢方薬」です。守りの元手を増やして、ひきにくく、ひいても戻りやすい身体を作ります。
- 朝食を抜かない、「ひきそう」のサインでその日のうちに休む、首とお腹を冷やさない。これがバリアになります。
- まず内科で血液検査を。漢方は「3ヶ月」を単位に、「回数と長引く日数が減ったか」を一番の物差しにします。
「私は昔からひきやすい虚弱体質だから仕方ない」と、一人で諦めて決めつけないでください。
あなたが風邪をひくパターン、治るまでの日数、毎日の食事と眠り、そして忙しさの波を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、新宿の漢方薬局「太陽堂」があなたのタイプに合った漢方ケアをご提案いたします。
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風邪のひきやすさは、体力、胃腸、季節の養生と深く関わっています。ご自身の症状に近いページもぜひご参照ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。















