
「ティッシュが手放せず、鼻水が水のように垂れてくる」
「仕事中や運転中に、花粉症の薬で眠くなるのは困る」
春先や秋口になると、こうしたアレルギー性鼻炎の症状に悩まされる方は非常に多いですよね。
そんな方に、西洋医学のアレルギー薬(抗ヒスタミン薬)とは違うアプローチで選ばれているのが、漢方薬の「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」です。
このページでは、店頭でよく聞かれる4つ——「いつ効く?」「眠くなる?」「いつから、どう飲む?」「自分に合う?」——に、新宿の漢方薬局・太陽堂の薬剤師が答えます。あわせて、小青竜湯の仕組みと、効きが悪いときの見直し方もご説明します。

小青竜湯はいつ効く?——見るのは「日数」ではなく「変化」
小青竜湯は、鼻水・くしゃみのような急性の症状には早めに効くこともある漢方薬です。ただ店頭では、「何日で効く」「何週間で効く」という数字はお伝えしていません。急性の症状を抑えたいのか、体質として花粉に強くなりたいのかで、見る時間の長さがまったく違うからです。
見ていただきたいのは、期間ではなく変化です。飲み始めても「鼻水の量が変わらない」「くしゃみが出続けている」なら、その組み合わせはかみ合っていないサインです。そのまま続けるより、組み合わせを見直します。
体質として花粉に強くなる目的なら、シーズンをまたいで「去年より軽かったか」で見ていきます。
小青竜湯は眠くなる?——眠気はありません。出るとすれば「胃もたれ」
「小青竜湯は眠くなりますか」——店頭でよく聞かれますが、眠くなりません。一般的な花粉症の薬(抗ヒスタミン薬)のような眠気やだるさが出ないことは、仕事中や運転前の方に選ばれている理由です。
代わりに気をつけたいのは、胃もたれです。漢方薬も「食事の一種」なので、胃が弱っているときは胃もたれが出ることがあります。
また、小青竜湯には麻黄(まおう)という、体を温めて発散させる生薬が入っています。麻黄が使えない方(バセドウ病の方など)には別の処方をご提案します(下の「合う人・合わない人」をご覧ください)。持病のある方・高齢の方は、飲む前に薬剤師にお伝えください。
【薬剤師コラム①】「眠くならない」の裏側にある、麻黄という生薬
担当薬剤師:林
小青竜湯は、麻黄で体を温めて発散させ、あふれた水を乾かす漢方薬です。抗ヒスタミン薬のように神経に働いて眠気を出す仕組みではないので、眠くはなりません。
そのかわり、漢方薬も食事の一種です。胃が弱っている方は胃もたれが出ることがあるので、気になったら早めに教えてください。麻黄が使えない方には、麻黄を含まない処方でご提案します。
飲み方——「症状が出る前から」が本筋
一番大事なのは、飲み始めるタイミングです。花粉症は、症状が出てからだと「炎症」が起きてしまい、炎症を取る漢方薬も一緒に使わなければならなくなります。つまり、症状が出てから小青竜湯だけを飲んでも、効かない可能性が高くなります。
だから太陽堂では、花粉が飛び始める1ヶ月・2ヶ月前、症状が出る前から飲み始めることをおすすめしています。
飲み方の基本は、食前か食間(食事と食事の間)です。回数はお渡しする煎じ薬や製剤によって変わるので、店頭でお伝えする飲み方に従ってください。シーズンが終わって症状が落ち着いたら、続けるか、来シーズン前まで休むかをご相談ください。
【薬剤師コラム②】「症状が出てから」では遅い理由
担当薬剤師:石川
花粉症の症状が出るということは、鼻の中で炎症が起きているということです。炎症が起きてしまうと、炎症を取る漢方薬も一緒に使わないといけなくなり、小青竜湯だけでは間に合わなくなります。
だから「症状が出てから」ではなく、飛び始める前から。毎年つらい方ほど、早めにご相談ください。
合う人・合わない人——「食後にひどくなりますか?」
店頭で聞き分けに使っている質問が一つあります。「食後に症状がひどくなりますか?」
「はい」の方は、胃腸の力が弱く体力が落ちている「脾虚(ひきょ)」タイプのことが多く、体を温めて発散させる小青竜湯より、麻黄を含まない苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)のほうが合います。麻黄が使えない方(バセドウ病の方など)も同じです。
市販の小青竜湯を試して変わらなかった方は、この脾虚タイプか、体に熱がこもるタイプであることが少なくありません。熱タイプの見分け方は、下の「効きが悪いときの太陽堂のひと工夫」と、花粉症のタイプ診断の記事をご覧ください。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)とは?「水」をさばく漢方
小青竜湯は、漢方の古典『傷寒論(しょうかんろん)』にも登場する、非常に歴史のある漢方薬です。
一言でいうと、「冷えてあふれ出た水を、温めて乾かすお薬」です。
「冷え」て「あふれ出た水」を乾かす
漢方では、サラサラとした透明な鼻水が出る状態を「溢飲(いついん)」と呼びます。
これは体内の水分代謝が悪くなり、コップから水があふれるように、鼻から水があふれ出ている状態です。
「水は寒なり」という言葉がある通り、余分な水は体を冷やし、冷えるとさらに水があふれるという悪循環に陥ります。小青竜湯は、この悪循環を断ち切るために体を温め、余分な水分を発散させます。
体を温める8種類の生薬
小青竜湯は以下の8種類の生薬で構成されています。
- 麻黄(マオウ)、桂皮(ケイヒ):体を温め、発汗させて邪気を追い出す。
- 乾姜(カンキョウ)、細辛(サイシン):お腹や芯を温め、寒さを取り除く。
- 半夏(ハンゲ):体内の水分代謝を整える。
- 五味子(ゴミシ)、芍薬(シャクヤク):咳を鎮め、過剰な発散を抑える。
- 甘草(カンゾウ):全体の調和。
これら「温める」生薬のチームワークにより、あふれ出る鼻水をシャットアウトします。
【比較表】鼻水の状態で選ぶ、3つの漢方薬
「花粉症ならとりあえず小青竜湯」と思っていませんか?
実は、鼻水の状態によっては別の漢方薬が適していることもあります。以下の表でチェックしてみましょう。
| 漢方薬 | 鼻水の状態 | その他の特徴 | 向いているタイプ |
| 小青竜湯 | 透明・サラサラ | くしゃみ連発、寒気がある | 冷え性タイプ(水毒) |
| 辛夷清肺湯 | 黄色い・ネバネバ | 鼻づまり、熱感がある | 熱こもりタイプ(副鼻腔炎など) |
| 葛根湯加川芎辛夷 | 少し粘る・詰まる | 肩こり、頭痛がある | 冷えと詰まりタイプ |

効きが悪いときの太陽堂のひと工夫
「昔は小青竜湯が効いたのに、最近効きが悪くなった」という声をよく耳にします。暖房や高カロリーな食事の影響で、体に「熱(内熱)」がこもり、温める性質の小青竜湯が噛み合いにくくなっている現代人が増えているためです。
太陽堂では、そのような方に「石膏(セッコウ)」という熱を冷ます生薬を別でお出しし、温める作用と冷ます作用のバランスを微調整することがあります。漢方は、環境と体質に応じて変化を加えることが重要なのです。
「そもそも自分は冷えタイプ?熱タイプ?」というタイプの見極めと、飲んでも変わらないときの見直し方は、こちらの記事で詳しく診断できます。
小青竜湯に関するFAQ(よくある質問)
小青竜湯はどのくらいで効きますか?
急性の鼻水・くしゃみには早めに効くこともありますが、日数の目安はお伝えしていません。
急性の症状か、体質として花粉に強くなる目的かで、見る時間の長さが違うためです。飲み始めても「鼻水の量が変わらない」「くしゃみが出続けている」なら、組み合わせを見直すサインです。
飲んでも眠くなりませんか?
眠くなりません。
一般的なアレルギー薬(抗ヒスタミン薬)に見られるような眠気やだるさが出ないため、仕事中や運転前、受験生の方にも選ばれています。出るとすれば胃もたれです。漢方薬も食事の一種なので、胃が弱っているときは気をつけてください。
いつから飲み始めればいいですか?
症状が出る前からです。花粉が飛び始める1ヶ月・2ヶ月前から飲むのをお勧めします。
症状が出てからだと炎症が起きてしまい、炎症を取る漢方薬も一緒に使わないといけなくなります。小青竜湯のような急性の症状に使う漢方は早めに効くこともありますが、始めるタイミングが何より大切です。
小青竜湯が合わないのはどんな人ですか?
食後に症状がひどくなる、体力の落ちている方(脾虚タイプ)と、麻黄が使えない方(バセドウ病の方など)です。
こうした方には、麻黄を含まない苓甘姜味辛夏仁湯をご提案しています。持病のある方・高齢の方は、飲む前に薬剤師にお伝えください。
妊娠中でも飲めますか?
妊娠中に飲む事はお勧め出来ません。
小青竜湯には体を強く温める作用があるため、妊娠中の服用には慎重な判断が必要です。
まとめ:眠くならない漢方で、春を快適に!
小青竜湯は、水っぽくて止まらない鼻水やくしゃみに対して、即効性も期待できる素晴らしい漢方薬です。
最大のメリットは「眠くなりにくく、仕事や生活の邪魔をしないこと」。
- 透明な鼻水がダラダラ出る
- 体が冷えると悪化する
- 仕事のパフォーマンスを落としたくない
そんな方は、ぜひ今年の対策に小青竜湯が合っているかもしれません。
そして、飲み始めは症状が出る前(飛び始める1ヶ月・2ヶ月前)から。これが小青竜湯を活かす一番のコツです。
ただし、一概に花粉症だから小青竜湯というのも良くないので「自分の花粉症に合う漢方が知りたい」という方は、ぜひ太陽堂までご相談ください。
血管運動性鼻炎など、アレルギー以外の鼻炎にも対応しております。あなたの生活スタイルや体質に合わせ、ベストな漢方をご提案いたします。
副鼻腔炎などの鼻の病気はご相談を多数いただいております。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。












