
「雨が降る前日になると、昔の怪我の跡がうずく」
「梅雨に入ってから、膝や腰などの節々が重だるい…」
天気が崩れるタイミングで起こる関節まわりの違和感。周りからは「気のせいじゃない?」と言われてしまいがちですが、気圧の低下と高い湿度は、私たちの体に物理的な影響を与えています。
今回は、梅雨の時期に節々の悩みが目立ちやすくなるメカニズムと、市販の鎮痛剤や湿布との付き合い方、そして体の中からアプローチする漢方の養生法を薬剤師が解説します。
【薬剤師 林の視点】気圧の変化と節々の「ズキズキ」の関係
こんにちは、薬剤師の林です。
天候によって引き起こされる不調は「気象病(天気痛)」とも呼ばれ、近年メカニズムの解明が進んでいます。
西洋医学の視点:気圧の低下と痛みの物質
天気が下り坂になり低気圧が近づくと、耳の奥にある「内耳(ないじ)」がそれを敏感にキャッチします。すると自律神経のバランスが乱れやすくなり、ヒスタミンなどの物質が分泌され、これが神経を刺激してズキズキとした違和感を引き起こすと考えられています。
辛い時は、ロキソニン(ロキソプロフェン)などの解熱鎮痛剤や、消炎鎮痛成分を含む湿布を使用することで、一時的に痛みの物質をブロックし、状態を和らげることが可能です。しかし、これらは対症療法であるため「なぜ天候が崩れると不調になるのか」という体質そのものにアプローチするものではありません。
漢方の視点:体に水が滞る「湿痺(しっぴ)」
漢方では、梅雨の時期の関節まわりの重だるさを「湿痺(しっぴ)」という状態として捉えます。
「痺(ひ)」とは、巡りの通り道が塞がってしまっている状態のこと。空気中の過剰な湿気が体に入り込み、冷えやすい部分にドロドロとした水分(水毒)となって停滞してしまうのです。
漢方では、防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)や薏苡仁湯(よくいにんとう)などを用いて、「余分な水の巡りをサポートし、体を温めてバランスを整える」というアプローチで日々の健康をサポートします。
※上記の漢方薬は使われる漢方薬の一部であり、一人一人に合った漢方薬の選定が必要です。
お悩みの際はぜひ一度ご相談ください。
【薬剤師 石川の視点】「水はけ」を良くする生活と食事ケア
薬剤師の石川です。
梅雨のズキズキや重だるさを和らげるには、外からのケア(温めること)と、内からのケア(食事で巡りを助けること)の合わせ技が効果的です。
違和感のある部分は「温めて」巡りを促す
昔のケガの跡や慢性的な節々の違和感は、冷えることで巡りが滞りやすくなります。
エアコンの冷風が直接当たらないようにサポーターやひざ掛けを活用し、夜はシャワーだけで済ませず、38〜40℃のぬるめのお湯にゆっくり浸かって全身を温めましょう。
水はけをサポートする「豆類」を取り入れる
体の中に停滞した「湿気」を追い出すには、利尿を助ける食材がおすすめです。
特に、黒豆や小豆(あずき)などの豆類には、水分の代謝をサポートするカリウムやサポニンが含まれています。温かい黒豆茶や小豆茶をこまめに飲むのも、梅雨の養生としてぴったりです。
【比較表】梅雨のズキズキ対策:OK・NG行動リスト
| カテゴリ | 〇 おすすめ(温めて巡りを助ける) | × 要注意(冷やして滞らせる) |
| ケア | お風呂や温湿布で温める (巡りをサポートし、こわばりをほぐす) | 冷感湿布の長時間の使用 (急性のケガ以外で冷やしすぎると、かえって巡りが悪くなることも) |
| 生活 | 無理のない範囲でのストレッチ (まわりの筋肉を動かし、巡りを促す) | 違和感があるからと一日中動かない (筋肉が固まり、さらに滞りやすくなります) |
| 食事 | 黒豆茶、小豆、生姜、ネギ (余分な水分をさばき、体を温める食材) | 冷たいジュース、塩分の多い食事 (むくみを引き起こし、重だるさの原因に) |
梅雨の関節の悩みに関するよくある質問(FAQ)
ロキソニンなどの鎮痛剤と漢方薬は一緒に飲めますか?
基本的には併用可能です。
どうしても辛い時は西洋薬(鎮痛剤)を活用し、日々の健康維持や体質からのアプローチとして漢方薬を取り入れるという使い分けがおすすめです。飲み合わせについてご不安な点があれば、太陽堂の薬剤師にお気軽にご相談ください。
湿布は「温感」と「冷感」どちらが良いですか?
梅雨時期の慢性的な違和感には、基本的に「温感」や「温めるケア」が向いています。
冷湿布は、捻挫や打撲など「急激に熱を持っている状態」に用いるのが一般的です。気圧や湿気からくる違和感は、巡りの滞り(冷え)が関係していることが多いため、サポーターなどで保温する方が快適に過ごせるケースが多いです。
病院へ行く目安はありますか?
違和感が急激に強くなった場合や、患部が赤く腫れて熱を持っている場合は、早めに整形外科を受診してください。
単なる気候の変化ではなく、急性の炎症などが起きているサインである可能性があります。まずは医師の診断を仰ぐことが大切です。
まとめ:天気に振り回されない、軽やかな体へ
「雨が降るたびに重だるくなるから、梅雨の時期は憂鬱…」
その違和感は、体が「巡りが滞っているよ」と教えてくれているサインかもしれません。一時的な対処だけでなく、漢方の視点から余分な水と冷えにアプローチすることで、季節の変わり目も健やかに過ごせるようになります。
「長年、天候の変化による不調に悩まされている」「自分に合ったアプローチが知りたい」という方は、ぜひ一度、太陽堂にご相談ください。お一人おひとりの体質に合わせたアドバイスを行っております。
気象病・天気痛に関してはこちらのページを参考にされて下さい。
次に読んで欲しい記事(梅雨の養生法)
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎


実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈


得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。


















