
「健康のために、朝は毎日スムージーと生野菜サラダを欠かさないようにしている…」
「体に気をつかっているつもりなのに、冬になると手足の冷たさやだるさ、お腹の不調がひどくなる…」
「腹巻きや靴下など温活グッズは色々試したけれど、食べ物までは気にしたことがなかった…」
実は、「良かれと思って続けている健康習慣」が、冬に限っては体を内側から冷やす原因になっていることが少なくありません。腹巻きやカイロで一生懸命外から温めても、口から入る食べ物がダイレクトに内臓を冷やし続けていたら、せっかくの温活も台無しになってしまいます。
漢方や薬膳の世界では、食材にはそれぞれ「体を温める・冷やす」という性質(食性)があると考えます。夏ならば体にこもった熱をほどよく冷ましてくれるありがたい食材が、冬にはそのまま「不調を招くNG食材」へと変わってしまうのです。
今回は、冬の不調を悪化させる意外なNG食材と、我慢ではなく「置き換え」で無理なく続けられる温め食材の選び方を、太陽堂の薬剤師が詳しく解説いたします。
【太陽堂が教える、冬の食事と冷え対策の養生まとめ】
まずは、当薬局が考える冬の食事と冷えトラブルへのアプローチを簡潔にまとめました。
- 漢方の見立て(原因): 西洋医学では「冷たい飲食による消化管の血管収縮と、消化酵素の働き低下」とされる冬の不調ですが、漢方では、スムージーや生野菜など体を冷やす食材を摂り続けることで、胃腸の働きと体を温める根源的な力である「陽気(ようき)」が消耗し、内側から芯まで冷え切ってしまった状態に注目して原因を探ります。
- アプローチ(対策): 生野菜を温野菜に、氷入りの飲み物を白湯にといった「温かい形への置き換え」を取り入れた毎日の食事ケア(養生)と、お一人おひとりの体質に合わせたオーダーメイドの煎じ薬を通じて、厳しい寒さに負けない「自ら熱を作り出せる体の土台づくり」を内側からサポートします。
- 今後のステップ(根本ケア): 厚着やカイロで外側から温めてその場をしのぐだけでなく、根本的な原因(陽気の不足や胃腸の慢性的な冷え)を見極めるため、まずはじっくりとご相談を重ね、冬の寒さにも揺らぎにくい長期的な体質と向き合っていきます。
【薬剤師 林の視点】食べ物が冬の不調を左右するメカニズムとアプローチ
こんにちは、薬剤師の林です。
冷えやだるさを防ぐために外から着込むことは誰でも思いつきますが、実は「口から入れるもの」の影響力は、私たちが想像している以上に大きいのです。
西洋医学の視点:冷たい飲食は「お腹の中の血流」を直撃する
西洋医学の観点から見ると、冷たい飲み物や食べ物が直接胃腸に入ってくると、内臓は急激に冷やされます。すると、胃や腸の周辺にある血管が収縮して血流がガクッと落ち、食べ物を消化するための「消化酵素」の働きも著しく低下してしまいます。
消化機能が落ちると、胃腸は冷えた食べ物を温め、消化するために余計なエネルギーを使わなければならず、せっかく食べた栄養素の吸収効率も下がってしまいます。
ただでさえ冬は、外の寒さから体温を維持するために、体全体のエネルギー消費が増える季節です。そこへ「内臓を直接冷やす食習慣」が加わると、エネルギー不足が加速し、お腹の張り、軟便や下痢、食後の強烈な眠気、そして末端の手足の冷たさといった形で、じわじわと不調が積み重なっていくのです。
漢方の視点:「陽気」を守る食べ方が、冬を乗り切る土台を作る
一方、漢方の視点では、体を温めて活発に動かすための根源的なエネルギーを「陽気(ようき)」と呼びます。冬は自然界全体の陽気が最も減り、寒さ(寒邪:かんじゃ)が強まる季節です。そのため、体の中の陽気をいかに無駄遣いせず守り、育てていくかが、冬の養生の絶対的な中心となります。
漢方(薬膳)では、すべての食材には「寒・涼・平・温・熱」という5つの性質(食性)があると考えます。寒性・涼性の食材は体の熱を奪って冷まし、温性・熱性の食材は体の陽気を助けて温めてくれます。
この性質を見分ける分かりやすい目安が、「育った環境」と「旬」です。
暑い南国の土地で育つものや、夏が旬の水分を多く含む野菜は体を冷やし、寒い土地や冬の季節に育つもの、土の中でじっくり育つ根菜類は体を温める傾向があります。自然は、その季節の体に必要なものをちゃんと用意してくれているのです。
漢方では、冷えやだるさでお悩みの方に対し、体を冷やす食材を控えて陽気を守りながら、内側から熱を作り出すアプローチ(温陽散寒:おんようさんかんなどの考え方)を用いて、厳しい冬の寒さにも負けない健やかな体の土台づくりをサポートしていきます。
【薬剤師 椙田の視点】冬のNG食材と、無理のない「置き換え」テクニック
薬剤師の椙田です。
冬の食養生を成功させるコツは、「好きなものを完全に禁止して我慢する」ことではありません。「同じ栄養を、どう温かい形に置き換えて摂るか」を考えることです。我慢ではなく「置き換え」のテクニックを使えば、ストレスなく体を温める習慣が続きます。
【要注意】冬に体を内側から冷やす食べ物と「置き換え」のコツ
美容や健康に良いとされるものでも、冬の朝や冷え性の方にとっては負担になるものがあります。
- 朝の生野菜サラダ・スムージー: 起き抜けの冷えた胃腸に、冷蔵庫から出したての生野菜やスムージーを流し込むのは、冷えに追い打ちをかけるようなものです。→ 【置き換え】温野菜サラダや、具だくさんのお味噌汁・スープへ。火を通すことでカサが減り、生野菜よりも多くの食物繊維と栄養を摂れるうえ、お腹もポカポカに温まります。
- 南国育ちのフルーツ(バナナ・パイナップル・マンゴーなど): 暑い土地で育つ果物は、こもった熱を冷ます性質(寒涼性)を持っています。→ 【置き換え】りんご・みかんなど、冬が旬の果物を「常温」で。りんごをフライパンやレンジで温めて「焼きりんご」にすれば、さらに安心で胃腸に優しい冬のおやつになります。
- 氷入りの飲み物・アイスクリーム: 内臓をダイレクトに冷やすことは、冬の時期の最大のNGです。→ 【置き換え】白湯・ほうじ茶・生姜湯などの温かい飲み物へ。外出先のカフェやレストランでも、「氷なしでお願いします」の一言を習慣にしてみましょう。
- 白砂糖をたっぷり使った甘い洋菓子: 精製された白砂糖は、急激に血糖値を上げるだけでなく、漢方では体を冷やす方向に働くと考えられています。→ 【置き換え】干し芋・焼き芋・ナツメ・黒糖など「自然な甘み」へ。甘いものをゼロにするのではなく、自然由来の質の良い甘みに置き換えるのがコツです。
- キンキンに冷えたビール・チューハイ: 忘年会シーズンの落とし穴です。アルコールで一時的に表面は熱くなっても、大量の冷たい水分で胃腸は芯から冷え切ってしまいます。→ 【置き換え】一杯目の乾杯のあとは、熱燗・お湯割り・常温の赤ワインなど「温かいお酒」へスイッチ。
【おすすめ】冬の体を温める食材の選び方
温める側の主役となってくれるのは、土の中でじっくりと育つ根菜類(ごぼう・にんじん・れんこん・かぶ・山芋)と、ねぎ・にら・生姜・にんにくなどの薬味野菜です。(※生姜は生のままだと発汗して熱を逃がすため、スープなどで加熱して使うのが体を芯から温める鉄則です)
そして、これらの温め食材を一度にたっぷり摂れる冬の食卓の王様が、「お鍋(鍋料理)」です。
体を芯から温めながら、野菜の食物繊維も、お肉や魚・豆腐などのたんぱく質もバランス良く摂れる、まさに理にかなった理想の冬ごはんです。味付けには、味噌や黒酢、七味、シナモンなどの温め調味料を上手に活用してみてください。
【比較表】冬の食べ方 OK・NGリスト
| カテゴリ | 〇 おすすめ(体を温め、陽気を育てる食べ方) | × 要注意(胃腸を冷やし、陽気を奪う食べ方) |
| 朝食のメニュー | 具だくさん味噌汁・温野菜サラダ・白湯 (冷えた胃腸を優しく温め、消化吸収のスイッチを無理なく入れる) | 冷たいスムージー・生野菜サラダ・冷蔵庫から出した牛乳 (起き抜けの胃腸が冷え切り、一日中熱を作れない原因になる) |
| 果物の選び方 | りんご・みかんを「常温」で。焼きりんごも◎ (冬が旬の食材を選び、内臓に冷たい刺激を与えない) | バナナ・パイナップルなど南国フルーツを毎朝食べる (体を冷ます性質が強く、冬の冷え性やむくみを悪化させる) |
| 飲み物とお酒 | 白湯・ほうじ茶・生姜湯・熱燗・お湯割り (体の芯から温め、気血の巡りをスムーズに保つ) | 氷入りのドリンク・キンキンに冷えたビールを一晩中飲む (胃腸の血管が収縮して消化機能が落ち、翌日のだるさを招く) |
| おやつと甘味 | 干し芋・焼き芋・ナツメ・黒糖など自然の甘み (血糖値の急上昇を防ぎ、胃腸を労わりながら満足感を得る) | 白砂糖がたっぷりのケーキやアイスクリーム (精製された砂糖と冷たさのダブルパンチで体を内側から冷やす) |
冬の食事養生に関するよくある質問(FAQ)
野菜は生野菜(サラダ)で酵素を摂りたいのですが、冬は絶対にダメですか?
「絶対にダメ」というわけではありませんが、「冷え性の方が毎朝の習慣にする」のは見直しが必要です。
もともと体温が高く、胃腸が非常に丈夫な方が、日中の温かい時間にたまに生野菜サラダを食べる分には問題ありません。しかし、手足の冷えやお腹の弱さを自覚している方が、「健康のために」と真冬の朝に欠かさず冷たいサラダやスムージーを続けるのは、かえって胃腸の負担となります。温野菜やスープに置き換えれば、カサが減って多くの栄養を摂りつつ、お腹への冷えのダメージを回避することができます。
生姜湯など温める食材を一緒に食べていれば、冷たい飲み物を飲んでもプラスマイナスゼロになりますか?
残念ながら、足し算で相殺されてゼロにはなりません。「冷たいものを減らす」ことが最優先です。
せっかく温かい生姜湯を飲んで胃腸を温めても、その直後に氷入りのジュースを流し込んでしまえば、胃腸は一瞬で冷やされてしまいます。漢方の養生では、まずは「マイナス(冷たいもの)を減らす」ことが先であり、「プラス(温めるもの)を足す」のはその次です。食事の順番や温度を意識するだけで、同じ食材でも体のコンディションは全く違ってきます。
食事に気をつけて置き換えを実践しているのに、手足の冷えやだるさがなかなか良くなりません。
その場合、「熱を作り出す力(陽気)」自体が根本から不足している可能性があります。漢方の出番です。
食事を温かいものに置き換えることは、「これ以上体を冷やさないようにする」という大切な「守りの養生」です。しかし、もともと体質的に「熱を作る力」や「温かい血を末端まで巡らせる力」が著しく弱っている場合、守りの養生だけではマイナスを食い止めるだけで、プラスに転じるまでに時間がかかります。
そこを内側から力強く底上げし、自ら熱を作れる土台を育てるのが、漢方薬の大きな役割です。体質や冷えのタイプはお一人おひとり違いますので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ:冬の食養生は「我慢」ではなく「置き換え」で体を守る
「冷え性が辛いけれど、好きな食べ物を我慢するのはストレスになる…」
そのように身構える必要はありません。冬の食養生の基本は、好きなものをやめることではなく、「温かい形に置き換える」という、ちょっとした工夫の積み重ねです。
スムージーを温かいお味噌汁に。南国フルーツを焼きりんごに。氷入りのドリンクを常温や白湯に。冷えたビールの2杯目をお湯割りに。
どれも決して難しいことではありません。この置き換えを意識するだけで、あなたが外から一生懸命行っている温活(腹巻きや入浴)がしっかりと実を結ぶ、「冷えを寄せ付けない体の土台」が出来上がっていきます。
「食事を変えたり外から温めたりしても、手足の芯からの冷たさやだるさがどうしても抜けない」「毎年冬が本当につらくて、春が待ち遠しい」という方は、自ら熱を作る力そのものを根本から立て直すタイミングかもしれません。
ぜひ太陽堂までお気軽にご相談ください。専門の薬剤師が、あなたのお悩みや体質に寄り添い、無理なく続けられる養生プランをご提案いたします。
関連ページ
太陽堂では、季節のお悩みだけでなく、心と体の様々なお悩みに対する漢方サポートを行っております。気になる症状がございましたら、以下のページもぜひご覧ください。
太陽堂の特徴
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そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
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「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
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お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。















