
その冷え、実は「手足」よりも深刻かもしれません
「私は手足がポカポカしているから、冷え性じゃないわ」
「むしろ暑がりで、冬でも冷たい飲み物が好き」
そう思っているあなた。今すぐ、ご自身のおへその周りやお尻に手を当ててみてください。
……手のひらよりも「冷たい」と感じませんか?
もしヒヤッとしたら、それは今急増している「内臓型冷え性(別名:隠れ冷え)」の可能性が高いです。
手足の血管を縮めて熱を逃さないようにする「末端冷え性」とは違い、内臓型は「体の中心温度そのものが下がっている」という、漢方的には少し心配な状態。
今回は、免疫力や代謝に直結する「内臓の冷え」のチェックと、今日からできる立て直し方をご紹介します。
【太陽堂が考える、内臓型冷え性へのアプローチまとめ】
先に、当薬局の見立てと進め方を簡潔にまとめました。
- 漢方の見立て(原因): 西洋医学では「深部体温(内臓の温度)の低下による基礎代謝の落ち込み」として説明されますが、漢方では胃腸(中焦:ちゅうしょう)を温める力そのものが不足し、体の中心から熱を作れなくなった状態(脾陽虚:ひようきょ)に注目して原因を探ります。
- アプローチ(対策): カイロを貼る位置の見直し・常温以上の飲みもの・胃腸を元気にする食材(芋類・鶏肉・根菜)といった養生と、お一人おひとりの体質に合わせたオーダーメイドの煎じ薬を通じて、「お腹の中から熱を作る体の土台づくり」をサポートします。
- 今後のステップ(根本ケア): 手足を温めたり厚着をしたりする外側のケアだけでなく、冷たい飲食の習慣・食べすぎ・湿気・ストレスなど、胃腸を弱らせている背景を一つずつ見極め、長期的な視点で揺らぎにくい体質と向き合っていきます。
【薬剤師 林の視点】西洋医学では「内臓の冷え」をどう考えるか
こんにちは、薬剤師の林です。
「内臓型冷え性」という言葉は漢方寄りの表現ですが、体の中で起きていることは西洋医学の考え方でも説明できます。
私たちの体の内側の温度を深部体温と呼びます。体内で働く酵素は一定の温度帯でいちばん働きやすいため、深部体温が下がると消化や代謝の反応がゆっくりになります。食べたものをエネルギーに変える効率が落ち、熱を作る力もさらに弱まるという循環に入りやすいのです。
「暑がりなのにお腹だけ冷たい」という方が多いのも、理由があります。手足や皮膚の血管を広げて熱を逃がす働きが優位になっていると、体の表面は温かく感じられる一方で、お腹の奥に熱が残りにくくなります。体感と内側の温度が一致しないため、ご自身では気づきにくいのです。
もう一つ見落とされやすいのが、筋肉の量です。筋肉は体の中でもっとも多く熱を作る場所で、とくにお腹まわりや太ももの筋肉が少ないと、内臓を温める熱の供給そのものが細くなります。デスクワークが続いて歩く量が減った方や、食事量を絞るダイエットを長く続けた方に内臓の冷えが目立つのは、このためです。
そして体温は病院の検査項目に入りにくく、血液検査で「異常なし」と言われることがほとんどです。この「検査では見えない土台の弱り」を体全体のバランスとして捉えるのが、漢方の得意分野です。まずはご自身の状態を確かめてみましょう。
もしかして私?「内臓型冷え性」セルフチェック
内臓の冷えは「寒い」という自覚が少ないため、体の不調サインを見逃さないことが大切です。いくつ当てはまるかチェックしてみましょう。
判定:
1つでも当てはまれば予備軍、3つ以上なら「内臓型冷え性」が進行している可能性があります。
特に「自分は暑がりだと思っているのに、お腹を触ると冷たい」のが最大の特徴です。
なぜ怖い? 内臓温度が下がることの3つのリスク
「お腹が冷えているだけ」と軽く見てはいけません。
内臓温度が1℃下がると、基礎代謝は約12%、免疫力は約30%も下がると言われています。
1. 免疫力がガクンと下がる
腸には体内の免疫細胞の約7割が集まっています。お腹が冷えて腸の動きが悪くなると、ウイルスや細菌と戦う力が弱まり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなってしまいます。
2. 代謝が落ちて「太りやすく」なる
内臓の働きには多くのエネルギーが必要です。
ここが冷えると基礎代謝が落ち、「ダイエットをしているのに痩せない」「下半身のむくみが取れない」という悪循環に陥ります。
3. 子宮・卵巣機能への影響
子宮や卵巣も骨盤内にある臓器です。
お腹やお尻の冷えは、そのまま子宮周りの血流不足につながります。
生理不順や生理痛の原因になるほか、不妊でお悩みの方にとっては、赤ちゃんを迎えるためのふかふかのベッド(内膜)が作りにくくなる要因にもなります。
カイロで「外から」温める! 正しい貼る位置
低下してしまった内臓温度を上げるには、物理的に温めるのが近道です。カイロを貼るなら、漫然と背中に貼るのではなく「効率よく熱が伝わるツボ」を狙いましょう。
| 貼る場所 | ツボの名前 | 効果 |
| おへその下 | 関元(かんげん) | おへそから指4本分下。「元気の源」が集まる場所で、全身を温めます。 |
| お尻の割れ目の上 | 仙骨(せんこつ) | 骨盤の中心にある骨。子宮や卵巣、腸へ直接熱を届ける最強スポットです。 |
※低温やけどを防ぐため、必ず肌着の上から貼ってください。寝る時は外しましょう。
※腹巻き(はらまき)を併用するのも非常に効果的です。

漢方で「中から」立て直す! 胃腸(中焦)のケア
胃腸は食べた物をエネルギー(気)と栄養(血)に変えるエンジンの役割だと考えます。
内臓型冷え性の人は、このエンジン自体が冷えてパワーダウンしている状態。
まずは「冷たい飲み物を温かいものに変える」だけで、体は大きく変わります。
今日からできる「食」の改善
- 飲み物は「常温」以上: 氷入りの水は避け、白湯(さゆ)や温かいお茶を選びましょう。
- 食材で温める: 以前の記事で紹介した「陽の食材(生姜、羊肉、根菜)」に加え、胃腸を元気にする「芋類(サツマイモ、ヤマイモ)」や「鶏肉」がおすすめです。
▼ 何を食べればいい? 詳しい食材リストはこちら

【薬剤師 椙田の視点】暮らしのOK・NGと、受診の目安
薬剤師の椙田です。
内臓型冷え性の方は、ご自身が「暑がり」だと思っているぶん、体を冷やす習慣が積み重なりやすいのが特徴です。よくある場面を〇×で並べてみました。
| 場面 | 〇 おすすめ(お腹の熱を守る) | × 要注意(内臓を冷やす) |
| 朝の一杯 | 白湯や温かいお茶をゆっくり飲む (眠っていた胃腸のエンジンを穏やかに温める) | 冷蔵庫から出した水やアイスコーヒー (起き抜けの内臓を直接冷やし、一日の熱の作り方が鈍る) |
| 食べ方 | よく噛む・腹八分目・温かい汁物を添える (消化の負担を減らし、熱を作る力を消耗させない) | 早食い・食べすぎ・寝る直前の食事 (消化に力を取られ、胃腸が疲れて温める余力がなくなる) |
| 服装 | 腹巻きやハイウエストでお腹と腰を覆う (体の中心の熱を逃がさない。夏の冷房対策にも有効) | 薄手のトップスで腰やお腹が出る (体の中心から熱が抜け、季節を問わず冷えが進む) |
| 夜のすごし方 | ぬるめのお湯に15分ほど・寝る前に足首を回す (お腹の奥まで温まり、眠りにも入りやすくなる) | シャワーだけで済ませる日が続く (表面しか温まらず、深部の温度が戻らないまま朝を迎える) |
なお、お腹の冷えに強い腹痛・下痢や便秘が長く続く・体重の急な減少・不正出血が重なる場合は、別の不調が隠れていることもあります。その場合はまず内科や婦人科をご受診ください。検査で「異常なし」と言われた方や、体質から整えたい方が漢方の出番です。
内臓型冷え性に関するよくある質問(FAQ)
「これって私のことかも?」と思いやすい質問をまとめました。
私は「暑がり」で汗っかきなのですが、それでも冷え性ですか?
はい、その汗こそが内臓型冷え性のサインかもしれません。
内臓が冷えていると、体はこれ以上熱を逃がさないように交感神経を緊張させたり、逆に体温調節がうまくいかず表面だけ熱くなったりすることがあります。
かいた汗が冷えるとさらにお腹を冷やしてしまうため、こまめに拭き取り、冷たい飲み物のがぶ飲みは避けましょう。
腹筋をすれば治りますか?
とても有効です!
お腹周りの筋肉が少ないと、内臓を守れず冷えやすくなりますし、筋肉が動くことで熱が生まれます。ただし、いきなり激しい運動をすると続きません。まずは「早歩き」や、エスカレーターではなく「階段を使う」ことから始めて、お腹の深層筋肉(インナーマッスル)を使う意識をしてみましょう。
お腹の冷えに効くツボはありますか?
足にある「三陰交」がおすすめです。
お腹にカイロを貼るのが一番ですが、ツボ押しなら足首の内側にある「三陰交(さんいんこう)」が内臓(消化器・生殖器)と深くつながっています。
▼ ツボの場所を写真で解説!

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まとめ:お腹の温かさは「生命力」の証
手足の冷えは「つらい」と感じますが、内臓の冷えは「気づかない」まま進行するのが怖いところです。
お風呂上がりに、ご自身のお腹をそっと撫でてみてください。
「温かくて気持ちいい」と感じられる状態が、健康のバロメーターです。
「カイロを貼ってもお腹が冷たい」
「胃腸の調子がずっと悪い」
そんな方は、体質改善が必要かもしれません。
太陽堂では、あなたの内臓の元気を取り戻すお手伝いをしています。
ぜひ一度ご相談ください。
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ご相談の多い疾患・お問い合わせ
▼お腹の冷えと一緒に「夕方の脚のむくみ」がある方は、こちらもご覧ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
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記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。











